普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

うにを初めて食べたひと、私生活ド変態だったんじゃないか

在宅勤務のお昼ご飯。今日の気分は海鮮丼だと自転車を駆り颯爽と走り出したところ、ぐぎぎぎぎと自転車の悲鳴が鳴り響いた。

おやおや、いつものあれかね。と、焦らず自転車を停める。この自転車、それなりにポンコツであることを承知で利用している。前輪の泥除けが変な曲がり方をしており、衝撃が加わるとタイヤにこすってしまうのだ。今日も同様の症状であろうと患部を見たら、見たことないくらいにぐにゃぐにゃんに泥除けが曲がっていた。曲がりすぎてタイヤを巻き込んで前にも後ろにも動かない。

これは大事だぞ。咄嗟にお昼ご飯よりも今日の透析への移動のこと、明日の出勤時の駅への道のりのことが頭をよぎった。歩くのだけは絶対に嫌だ。なんとしてもこの場でなおさねば。素人自転車大リペア大会が幕を開けた。

それにしても見事な曲がり方だ。泥除けはいちおう金属だと思われるのだけど、ポスターを丸めるがごとくくるんとなっている。昔なんかの漫画で読んだ強キャラが鉄パイプをリボンくらいの感じで結んで主人公を威嚇するみたいな描写を思い出した。なんの漫画だったか忘れちゃったけど。

僕は自転車に威嚇されているのか。よし、いい度胸じゃねえか、受けてたとう。こんなアホみたいな壊れ方にはアホみたいななおしかたしかない。まるまっているならのばせばいい。なんのひねりもなく素手で伸ばした。

そしたら意外にうまくいっちゃうというね。力はないのに力技を好むタイプであると自負しているが、こういう成功体験を過去にもしているからいつまでたっても同じことをしてしまうのだろうな。ま、なおったからなんでもよいです。というかふつうに自転車屋に修理に出せと言う話でしかないんですが。

素人リペア大会は勝利をもって幕を閉じた。景品は当然お昼ご飯である。目的通り海鮮丼を購入した。

うにねぎとろ丼に漬けマグロをトッピングというギルティ

冬のうちはなんだかんだと火の通ったものが食べたいという思いが強いのであまりお昼ご飯に登場しない海鮮丼だが、ここのところは殺人的熱波で攻め立てられているのでお刺身が素直に嬉しい。

うにも一時期情勢的に手に入りづらくなったりしていたようだけど、最近は安定供給されているようである。情勢はあんまり解決しているようではないけど、うには大丈夫になったんだろうか。食べられるなら細かいことはよいか。

それにしてもうに。当たり前のように食べているけれども、不思議な食べ物である。あんなとげとげの中にこんな無防備に内蔵的なものが詰まっているわけなのだから。食材界ツンデレの極北と言っても過言ではないだろう。ヤンキーが子犬を助ける構図にも似ているかもしれない。

うにを初めて食べたひとはあのとげとげの中を確認しようとし、あまつさえそれを食べちゃったわけなので私生活はド変態であった可能性は高い。「あんなにとげとげしてるやつこそ中はすごいんだよ〜」ってな感じで。でも、今こんなに手軽にうにが食べられているのはそのド変態ぶりのおかげなので今後うにを食べる時は変態こそ世界を変えるのだと感謝しながら食べようと思う。

ところでうにってどの部分を食べてるんだろうとざっくりと調べたら生殖巣と呼ばれる部分らしい。たぶん白子とかいくらとかと同じくくりで、命そのものな部分なのであんなに濃厚なのだろう。そういう罪深い食べ物ってのはおいしいもんですな。

ちなみに、最近の調べでうには場合によっては200年生きる場合もあるらしく、100年過ぎても生殖機能が衰えない個体もいるらしい。性豪過ぎる。それでいて食べている部分が生殖関係のものって言われるとなんかアレだよな〜と思ってしまったりもする。