普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

香港飯、まったく香港関係ないわけじゃない

香港飯なるものを食べた。

たぶん読み方は「ほんこんはん」で良いのだと思う。

在宅勤務のお昼ご飯、キメ打ちで近所の馬肉料理屋のハラミステーキ弁当を買いに走ったらお店があいていなかった。悲しみに打ちひしがれて立ち尽くしていたところ、近所に気になっていた町中華があったことを思い出した。そのお店のメニューのおそらく推しと思われるポジションに陣取っていたのが冒頭の香港飯というわけだ。

メニュー写真からはどんなものかはいまいちわからなかったものの、知らないもの食べたいおじさんが発動したので迷わずオーダーした。ちなみに香港と聞いてイメージするものといえばジャッキー・チェンくらいだ。ジャッキーが愛した丼だから香港丼。そんな可能性が万にひとつ、いや、億に0.1くらいはあるかもしれない。

そんな食べたらスタントが上手くなるかもしれないという可能性をテレビの部品を箱に入れて振ったらテレビが組み上がるくらい秘めた香港丼を食べ進める。

回鍋肉のタレ的な味のあん…なのかな。わかりにくいけど写真の丼上部にチラ見えしている男子運動部垂涎みたいな色味をした部分を食べて思った。具として何かが混ざっているのだけど、食べ終わるまで何かわからなかった。イッツバカ舌。とき卵っぽさは感じたんだけど卵、上に乗ってるし使うかなあと確信に辿り着けなかった。それだけ主張もそんなになかったということでもあるのだけれども。

がつがつとかき込む系の勢い重視の丼といった趣で、ふだんから頼むものではないにしろ、たまにはこういうのも良いなと思える一品だった。

食べながらたぶんジャッキー関係ないんだろうなと思ったので現代のアカシックレコードインターネッツにて香港飯について調べたところ、たぶん香港という地域性はあまり関係ないのだろうという結果に辿り着いた。

というよりも香港飯として検索上位に表示されたのは高田馬場にある町中華「秀永」と言うお店の「ほんこん飯」というものについての情報だった。そのうちのひとつは敬愛するデイリーポータルZの記事で、東京近郊の香港飯を食べ比べ由来について迫っていたのだけど、結局のところ甜麺醤を使った味噌系の味付けの炒め物、目玉焼きをオンした丼が香港飯となるとのこと。

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確かに今日僕が食べたものもそのようなものだった。その要項さえ満たしていればあとはそのお店のアレンジを加えたものとなっていくのだろうな。ご当地のB級グルメとして考案されたものの定義がブレていてメニュー名は同じなのに店によってまるで別の食べ物みたいになっているあのあれに比べるといくらか方向性は定まっている食べ物のようだ。

あと、元は香港のタクシー運転手がサクッとがっつりいけるように回鍋肉丼のようなものとして食べていたという話もあるらしく、「タクシー飯」という呼び名でも似たようなものが提供されているのだとか。

いやはや、デイリーはおもしろそうなことはだいたい調べているな。いまだに続けていけているのが本当にすごい。ぜひとも今後とも続いてほしい。最終的にライターも編集者も代替わりし続けてテセウスの船みたいなサイトになってほしい。

香港飯とかっていっても日本でノリで考案されたんじゃないかなという可能性もあるかなと思っていたが、タクシー運転手のくだりなどで一応香港発の食べ物であることがわかった。まあ土地との関連性は謎だけど。それでよいなら東京のタクシー運転手がサクッとご飯を済ませるために富士そばに通ってましたということでコロッケそばあたりが「東京麺」と呼ばれる日も来るかもしれない。来ないでしょうけどね。

お昼ご飯を通じて新たな(特に役には立たない)知識も増えたことだし、ジャッキーのことも久々に思い出したし上々な1日だったかな。このくらいの温度感ってよい。