普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

菊正宗的パブロフの犬

お酒に対してパブロフの犬みたいなところがある。おいしい食べものを食べるとお酒が飲みたくなるし、お酒を飲むとおいしい食べ物が食べたくなるのだ。僕は自分のことをそこまで限界酒飲みだとは思っていないのだけど、実際のところどうなのだろうか。

たぶん、その理由はこどもの頃にテレビで流れていた菊正宗(日本酒)のCMの影響があるのではないかと思う。

うまいものを見ると 菊正が欲しくなる

辛口の菊正を飲むと うまいものが食いたくなる

うまいものを見ると また 菊正が欲しくなる

辛口の菊正を飲むと また うまいものが食いたくなる

きぃくまぁさぁむうねぇ〜

と、菊正宗専用のCMソングと共に上記フレーズが語られるCMがけっこう頻繁に流れていたと記憶している。リンク

まあこういうイメージですわな

まさにこれが焼き付けられているため現状のおいしいものとお酒の強い結びつきに対してわりと自然であるのではないかと考えているのだ。そしてそう考えるが故においしいものを食べてすぐにお酒を飲みたくなってしまうくらいでは病的にお酒を求めるほどではないであろうとそう感じている。うっすら際どいものを感じながらも、ではあるが。

考えてもみれば、昔はお酒のCMってわりとふつうに流れていた。日本酒くらいであればまだ時代を下ってもやっていたかもしれないが、昔はウイスキーのCMだってあった。そしてそれが”かっこいい大人が嗜むもの”というイメージでばんばん流れていたのだ。たばこも同じテンションだったな。

今であれば無傷では済まない表現もふんだんに使われていたと思う。時代は変わった。僕は今の時代のほうが好きかな。その割にはお酒に対して脳が菊正宗だけど。

時代が変わったといえば、昨日職場で聞いた話もなかなかにしてすごかった。かつて、1990年代初頭あたりに会社オフィシャルの資料として社内に出回っていた資料の内容が今ではごりごりのコンプラ違反文書であったというのだ。

詳しい内容までは聞いていないが、女性を絡めた下ネタを散りばめることによって内容の記憶定着を狙っていたらしい。たぶんだけど秘宝館的な方向性のものだったのではないかと思われる。読んだらげんなりしそう。

なんでそんなことに…と思ってしまうが、文書製作陣が昭和脳であることは言うに及ばず、やはり時代というものは関係していたらしい。いくら今より色々おおらかな時代だったとはいえ、そんな最低なものが女性の目について良いわけがない。それはそう。でも実際に作られてしまっているのはなぜか。

女性の目にとまることが全く想定されていないのである。あのくらいの時代は女性会社員は冗談抜きにお茶を淹れること、コピーをとること、デスクの灰皿を交換することを業務にしていたのでそういったいわゆる総合職が目にするような資料は見ることがなかったというわけなのだ。

そういったわけで金太の大冒険がシリアスに思えてしまうのではというばっきばきの低俗資料が爆誕したのだろう。ほんと、すごい時代。いや改めて僕は今の時代に生きていてよかった。男だしおじさんだけどそういうのちょっと無理だもの。

なんと、直属の上司はこの資料をまだ持っているらしい。怖いもの見たさで少し見てみたい。お化け屋敷に入るひとと同じ心理かなと思ったけど、あちらは安全が保証されているけどこちらは心の清廉さを失う恐れがあるのでリスクしかないかもしれない。やっぱりやめとこうかな。

前述の通り基本男性しか見ていないはずのものだが、同じ島の姐さんは見たことがあるらしく「すごかった」と言っていた。なんでも知ってるな、姐さん。さすがだ。

たぶん、ああいった時代を生きていたひとの中でひと握りのひとたちは価値観をアップデートできていなかったりするのだろう。そのくらいの年代のひとはあまりインターネットを使いこなせていないので目立たないが、ネットに放り込まれたら炎上間違いないだろうし、なんなら燃え続けて火が消える瞬間などなく地獄の門の方が先に火が消えるかもしれない。

僕も昭和の菊正宗的お酒の飲み方ではなく、令和のお酒の飲み方をしていこう🍶