普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

嫌いという感情も行動原理になり得るのだな

7月の後半くらいに上司が骨折したことをご報告していたが、今週上司がそのとき以来の出社をしていた。

もう2ヶ月に迫る時間が経とうとしているが、さすがにずっと欠勤していたわけではなく、今の時代在宅勤務があるので家でうまいことやれることをやって仕事をまわしていた。こう言っちゃなんだけど、いなきゃいないでまわってしまうという悲しさがあるものだなと思った。上司不在で全然不便がないというね。上司とは。

実際のところ、上司不在の間にオフィスの引越しなんかも挟んでしまっているものだから、新オフィスで上司がいないのがデフォルトとなってしまっており、「そういうもの」感が育まれてしまったのはあるだろう。むしろ今週出社してきてそこに上司がいるほうが違和感だったくらいだ。

特に同じシマの女傑と姐さんは上司に対してかなりドライな対応で、勤務予定表の上司の入力欄を本人にうかがいをたてることなくすべて在宅勤務で埋め尽くした。有無を言わさないってあのことでしかない。「来るな」の圧がすごい。嫌いとかじゃないと思うんだけどな。

嫌いといえば、同じシマの長老はとにかく上司のことを嫌っている。上司は長老に対して嫌いまではいかないまでにしても扱いづらさを感じているらしく、日常的な会話はほとんどない。骨折以降の上司不在の日々、長老は目を細めっぱなしでどんな目をしてたか忘れるくらい目ほそになっていた。心なしか人柄が穏やかになった感すらある。

そんな長老と上司が再会を果たすわけなので、波乱の予感しかない。この日の出社予定者は僕と長老と上司のみ。僕は鎹(かすがい)としての役割を求められている…!!

カスガイ

鼻息荒く当日を迎えることになったのだが、こんな日に限って子が病院に行く必要が出てしまい、その用事が終わってからの出社となってしまった。午前丸々かかるくらいと予想される。

上司は電車の混雑を避けるため、お昼少し前に出社してくるそうだ。それまでに僕が到着すれば長老と上司の衝突爆発事故は避けられるはず。そう思いやきもきしていたがこれまたこういうときに限って病院が激混みでなかなか診察が終わらない。

結局お昼頃に出社となってしまい、長老と上司の夢のカードを実現させてしまったか…と、出社してからのフォローに考えを巡らせたが、それは杞憂であった。

なんと長老、上司が会社に到着する前に帰った。

当日、長老が出社時間を早め、さらに時間休などを駆使し、上司が到着する前にオフィシャルで業務を終え退社したのだ。

すげえ、すげえよ長老。社会人的な忖度とかまるでなし、フルオープンマインドでらっしゃる。しかも長老が帰ってしまったら同じシマの人員がゼロの時間が発生してしまうにも関わらず自分の気持ちに従った。ここまでだったか。よく今まで暴力に訴えることなく同じ空間で仕事してたな。いや、もしかして上司の骨折の原因(電車とホームの間に落ちた)は長老が押したとかあるのでは…などと邪推してしまうほどには長老の行動はラジカルであった。

僕はあまりシマの人員ゼロ問題を気にしていなかったのだけど、上司や女傑がさすがにそれはまずいと思ったらしく、この日在宅勤務としていた女傑が出社して対応してくれた。さすが傑物。

けっきょく上司と長老が対峙することなく、なんだかんだと平和な勤務時間となり、上司は荷ほどきだけして帰っていった。長老はあと数ヶ月で定年退職なのだけど、今はお試しで出社している上司だって、さすがにそれまでには復帰するだろうし、どうしていくつもりなのだろうか。まさかの上司復帰に先立って長老がシマを去るとかありえるのだろうか。今回のラジカルさだとやりかねなくて怖い。