普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

かつてのBURRN!って不正とかなかったんだろうか

趣味として音楽を楽しむひとは当然いるとして、それは日本国内だけで言うと3割くらいと仮定する。計算が面倒なので日本の人口1億人として3,000万人。妥当な気がする。

で、その中で音楽にそれなりにお金をつぎ込むほどに趣味としてのウエイトを占めているひとがその中のまた3割程度とする。これで900万人ほど。約1,000万人。市場として成り立っているくらいなのでそのくらいいてもおかしくはない。

その1,000万人ほどの音楽ファンの中にメタルファンってどれくらいいるのだろうか。1割だとして100万人。日本の人口の1%。参考までに僕が高校のときの学年の生徒数が250人くらい、その中でメタルファンは4人くらいはいたのでそれ言うと1%ちょいである。田舎の学校でこの程度だったのでけっこう数字としてリアルなんじゃないだろうか。

メタルファンとは要はメタルオタクであると言える。ひとによって評価の尺度は違えど、必ずメタルという沼にお金を落とす。そりゃもうばっしゃばしゃと。断言するがそこらの中途半端な音楽ファンに比べメタルファンは格段に金払いが良い。推しバンドに対して厳しい評価はすれどもきちんと購入してそのフィードバックをする。頼まれていなくても作品に対してあれこれ言いたくて仕方ないのだ。そういう生き物なのでこれはもうそういうものなのである。

その行為の筆頭がBURRN!誌のクロスレビューであった。たぶん知らないひとはいないと思うんですけどBURRN!といえばかつて日本でのメタル界の権威的雑誌でその雑誌で行われていたその月に発売される新譜を点数制で評価していたというのがその内容ですが説明不要ですよね?(早口)

正直、今はBURRN!から離れてしまっているので雑誌がどういうポジションで存在しているのか把握していないし、今クロスレビューが行われているのかさえ知らない。そして、おこわれていたとしてどれほどその影響があるのかも見当もつかない。

だが、僕が高校の頃、もっといえばインターネットが普及していなかった時代において、BURRN!のレビューといえばそれはもう絶対的存在だった。そもそも能動的に情報を手に入れる手段が格段に少ない。雑誌はその中でも貴重な存在で、メタルの情報ともなればニッチなのでより手に入れるのが難しかった。めちゃくちゃ有名なアーティストの新譜情報すら雑誌読まないと知らないとかザラだったものな。情報に対してふわっふわの時代に生きてたなあ…

そのような時代なのでバンドにとってBURRN!で紹介されることはもとより、高得点をつけられるというのは売り上げに直結していたのではないだろうか。BURRN!は主に洋楽を取り上げる雑誌だったのでバンドが直接編集部に掛け合うことはなかっただろうけど、そのバンドを扱う日本のレーベルは必死だったんじゃないかと考えたのだ。

ひょっとしたらごりっごりに接待して「お心付け」なんてものが横行していた可能性すらあるのでは。意地悪されて雑誌に紹介すらされなかったらはっきり言って売り上げは絶望的だっただろう。なにせその発売情報を知る手段がない。

今度発売のうちのアーティストたのんますよーってな具合に

冒頭で述べたようにメタルファンは音楽ファンの中の1%ではある。しかし、その1%は取りこぼしのリスクを避けられる1%なのだ。BURRN!で高得点で勧めてもらえば絶対買っちゃうもの、メタラーは。

まあ…レビューを頼りにCDを購入してはずした記憶はあまりないので実際のところそんな不正が行われていたとは考えにくいけど、不正の温床になりそうな環境であったのは確かだったんじゃないだろうか。ニッチな分だけ独占的市場であったのは違いない。少なくとも当時は。今はネットのちからで情報が分散されているので個人の判断の範疇がその当時よりは増えていると思われる。

メタルの話だけに限らず、ネットのなかった頃というのは今と比べてムーブメントを作り上げやすかったのだろう。だから権威的だったりずぶずぶの関係だったりが不正として認識されていなかった可能性はある。今の時代メディアが聞きなれない言葉を声高に発していると「流行らせようとしてんのかな…全然話題になってなさそうだけど」と、自分で判断できる程度に情報は手に入る。

時代は変わりましたよね、でも良い方向に行っているんじゃないかと個人的に思う次第です。変な着地しちゃった。まじでどうでもいい情報として、僕がBURRN!を最後に買ったのは1999年の5月です。昔すぎてちょっと引いちゃった。