普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

珍味食べるくらいの感覚で音楽ジャンルを掘ってみるのも良いのでは

僕はメタルやらハードコアといったわかりやすく暴力的な音楽が好きなのだけど、世の中的にはこれらの音楽はアンダーグラウンドな音楽として認定されていることだろう。それは当然理解できるしその認識で向き合っている。

しかしこの世にはメタルやハードコアなどとは比べものにならないほどに地下深くにうごめいている音楽が存在する。ノイズミュージックなどはその筆頭であると言えるだろう。”ミュージック”とは言われているが、個人的に音楽に必須であると考えている「旋律(メロディ)」「和音(コード)」「律動(リズム)」の3本柱のうちそれらがすべて揃うことは極めて稀な楽曲が大半を占めるため個人的には楽しんで聴けるタイプのジャンルではない。補足しておくと僕は前述の3つが揃ってさえいればかなり際どい音楽でも結構楽しんで聴けるタイプなのでその僕をもってしても難易度が高いジャンルということである。derringer escape Plan(参考)やCONVERGE(参考)なんてノイズに比べれば整合感の塊でしかない。聞く人が聞いたら放水の勢いが強すぎる暴れホースにしか感じないのだろうけれども。

もう随分前の話、友達のデスメタルバンドをライブハウスに見に行ったとき、対バン(共演者)にフルートとギター2人組のユニットが出演していたことがあった。ギターのひとの足元にはアンプにつないだベースが横たわっている。演奏がはじまったかと思いきや、轟音で繰り出されたのは不協和音の数々。フルートとギターサウンドは1度たりとも調和することなくその音を奏で続けた。とにかく音の壁がぐいぐいと押し寄せる。よくみたらギターのひとは足でベースをはじいて低音を補強していた。その使い方がありますか!と膝を打った次第。

「こ…これが噂に聞くノイズ…」

情報としてそういうジャンルがあると聞いてはいたが、まさか実際にこの耳で体感する日がくるとは。しかもライブで。正直理解はできなかったが勉強にはなった。ただ、なんとなくの流れは決まっているのかもしれないけれども偶発的な”良さ”を狙って音を奏でるもののようなのでインプロ(即興演奏)がそんなに好きではない僕にはやはりあまり馴染まないジャンルであると考えられる。

ノイズに関しては本当に通好みの音楽、食べ物で言えば「なれ寿司」とかあのあたりのレベル感だと思うので1度好きになると逆に同行の士には出会うものなのかもしれないが、それよりも絶妙に親しみやすさをもつジャンルもまたあるもので、それを僕は轟音系のシューゲイザーだと思っている。(こういった感じの

音の壁」を楽しむものであるというのはノイズと共通するところはありながらも先に述べた音楽の3本柱は楽曲に含まれていることは多い。ただ、絶妙なアングラ感であるためおそらくメタルやハードコアほどすぐに共通の好みのひとを探し出すのは困難だと思われる。僕は高校時代メタルなどを聴きながら「他のひととは違うんだぜ」という思いを抱いていたという痛めの過去を持っているが、シューゲイザー好きなひとはより一層その思いが強かったりするのかが気になるところだ。

先ほどノイズをなれ寿司と喩えたが、それに比べればメタルなど「しもつかれ」くらいの存在。知名度も好みもまあひとによってはくらいのポジションだ。珍味繋がりでさらに喩えればシューゲイザーは「モウカの星」あたりになるのではないだろうか。モウカの星はモウカザメの心臓のお刺身なのだけどめっちゃうまいです。でも知らないひとは知らないだろうし、僕も行きつけのお店でたまたま提供されているのを見て知ったけどそこで食べなかったらいまだに知らなかったと思う。シューゲイザーの入り口もそれくらいのような気がする。

過去に食べたモウカの星

あれこれ言ってみたけど何が言いたかったかっていうと、今ってめちゃくちゃマイナーな音楽ジャンルでもちょっと頑張れば結構インターネッツで結構掘れるのだから良い時代になったなと思ったのでした。今日もlolicoreというジャンルがあるのだと知り検索したらあっという間にヒットした。まじでインターネッツすげえっす。