普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

舐められたくなくてドクロのTシャツを着ちゃう心根の優しいソース

いつもの通勤経路、違和感に気づく。違和感のもとを辿るとこれが。

最初、強壮剤の自販機かと思った
色的に。

どうやらホットソースの自販機らしい。清々しいまでに一点突破である。強パンチしか出さない心意気だ。でも格ゲーならそれでも勝っちゃうこと、ありますからな。この自販機はただゴリ押しなのかそれとも知恵者か。

これほどの存在感を放つものをこれまで見落としているということもまずないだろうから、わりと最近設置されたものなのではないかと思われる。

それにしてもホットソースか。僕は辛いものがからきしなので”悪魔の”とか言われちゃうともうしつけの行き届いた犬よりもおりこうに待つことしかできない。でも気になる。

商品名はスリラチャというらしいです。

にんにく仕立てのウマ辛すっぱい味だそうで、味の方向性はとても好みであるのではないかと予想される。これで辛くなければなあ…とソースのアイデンティティ否定しそうになったところではたと気づく。

これ、たぶんバッファローソースと同じベクトルなのでは。

以前にバッファローウイングチキンが猛烈に食べたくなり家でこさえたとき、当然ソースも自作したわけだけれども、ケチャップ、バター、にんにく、タバスコがその構成であった。この自販機の言っていることとなんだかそう遠くないものではないか。そういうことならちょっと欲しいな。からあげにこのソースを絡ませることで突発的なバッファロー欲を満たすことができるならそんな素敵な日常はない。

バッファローウイング、また作りたいな…作った時はそれはもうウキウキだった。

ちなみに、辛いものが苦手とは言っているが辛味という味自体はわりと好きではある。ただ、年齢を重ねるごとに身体が辛さに悲鳴をあげるようになり、辛いものを摂取したその数時間後には関係各所が悲鳴をあげ、有り体にいうとおしりの穴が取れるんじゃないかなというひどいめに逢うのだ。そんなんなってまで辛いもの食べる根性はない。

冒頭の写真のコイン投入口したあたりにこのソースのちょっとした説明があり、それによるとアジア生まれのアメリカで大人気ソースであるらしい。なんだか聞いたことのある話だなと思ったらヨシダソースだ。あれも日本ではそんなに知名度はないけどアメリカでは爆発的な人気を誇るらしい。

味の方向性は全然違いそうだけど、とにかくどちらも人気のソースだということだ。世の中知らない人気者というのが数多く存在するのだな。それにしてもアメリ人はうまいソースが好きだなと思ったが、日本で言うところポン酢みたいなものなのかもしれない。日本では絶大な人気を誇っているうまいタレではあるが、外国でポン酢を知っているひとはそんなにいないのではないかと思われる。

ヨシダソースも想起させながら、この「とにかくこれを推してます!」の選択肢排除の一色に染めたこの姿勢、レッドブルなども同じ路線のように思う。ネットで調べてみるにきちんと独自のサイトもあるようで、そのあたりもアメリカらしさなのかなと思ったりする。

というかサイト見たらレシピ集にもろバッファローウィングチキン乗ってたな。やはりそちら方面か。買いだな、これは。本当はおいしいのに軽はずみに悪魔とか言わんで欲しい。おしりが身構えるので。舐められたくなくてドクロのTシャツとか着ちゃう心根の優しいソースなんだろ、ほんとは。

 

先ほどこれらのソースは日本で言うところのポン酢なのでは、と述べたがポン酢専門の自販機はまだ見たことがない。(ありそうだけど)ただ、日本の魂”だし”の自販機というのは存在する。

だしオールスターズ

下の方にある麦茶っぽく見えるものももれなくだしだ。調理用のだしのみの販売かと思いきや、拡大写真を見てもらえれば分かる通り、その場で飲めるだしも存在する。そしてその存在感を放つすっぽんエキス。きっちり高価だ。

内容としてはホットソースの自販機に引けをとらないように思うのだけど、やはり渋さが勝ってしまうと言うか、ビジュアルの地味さは否めない。葛飾北斎の波飛沫くらいプリントしてしまえば良いのにな。それを引っ提げて世界へ羽ばたけ、おれたちのだし。

自販機ひとつであれやこれやとぶつくさ言っていたが、個性を出そうとしている自販機がけっこう好きなのでその他の自販機については以下もあわせてどうぞ。