普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

ふたりでいるということに違和感を感じる日が訪れるとは

予約日が訪れるのが年単位という僕の生活の中では都市伝説レベルのお寿司屋さんに行ってきた。ふだんの生活の中でそのようなお店に触れ合うことはまずないのだけど、職場のグルメさんに紹介してもらいノリで予約していたものが先週末ついに予約日到来となったのだ。

予約したのは昨年4月。実に1年4ヶ月である。これでもスパンは短くなっているのだという。世の中いろんな世界がある。途方もねえ。

なにぶんノリで予約していたし、あまり深く考えていなかったので大人ふたりで予約していたわけなのだけれど、これがけっこう重要なポイントで、要は夫婦ふたりでの外食となったということだ。子が生まれてから初である。ふたりでいるのが当たり前の生活だったのに、ふたりでいるということに違和感をおぼえる日がくるとは。

ちなみに子は友人に預かってもらった。初めて両親ともにいなくなるわけなので、かなり寂しがるのではないかなと思ったけど、拍子抜けするくらいに平常心だったらしく、「そういうものか…」と僕らがちょっと寂しい気持ちになってしまった。将来の子離れイベント時、こんなにドライだったら泣いちゃう。

心では涙を流しつつも料理には浮かれたい。お店はお任せで料理が提供されるスタイルとなっており、良きペースでご馳走がサーブされていった。

もちろんすべてのお料理が素晴らしくおいしかったというのは大前提として、本当に素晴らしいなと思ったのだが、お料理すべてが一口サイズで提供された点だ。縮尺でいうと炒飯の写真がスプーンとの対比でわかりやすいと思う。

いうと切なくなるけれども、ここ最近加齢とともにもりもり食べられるおなかはとうに卒業しているので「おいしいものをちょっとずつたくさん」というのが最も理想なのだ。僕にとってベストなスタイルであったと言える。僕が知らなかっただけでこういう世界線はあったのだな。これからは積極的にこのスタイルをチョイスしていきたい。

こういった入店までの敷居が天空の彼方のお店だったので訪れる前まではめちゃくちゃ緊張したが、店員さんはフランクで親しみやすく、他のお客さんもわりと一般的な雰囲気といった感じですぐに緊張はほぐれた。お札を燃やして足元を照らしそうなひととかいるんじゃないかなと思ったが、いたのはカツマタさんの話題で持ちきりのスタートアップ企業風の面々だったりした。カツマタさん、嫌われてたな…

お任せメニューもすべて終了したところでいよいよ個別注文タイムが訪れ、この手のお店の真髄を味わうタイミングとなったが、少しずつとはいえけっこうな品数は出てきたので僕ら夫妻はすっかりおなかいっぱいで大満足のままお店を後にした。

子はどんなリアクションをとるのだろうと動画をまわしながら帰宅してみたが、友人にだっこされながらすやすや寝ておりました。ことごとくこちらが空回りする格好であった。ま、泣いちゃって手をかけてしまうよりずっとよかったのだけど。

こうしてここ最近の中でもずば抜けてハレな1日は終わりを迎えたのであった。次回こんな日が訪れるのはいつになることやら。聞くところによると子を連れて行っても良いということなので次回は子同伴でぜひと考えております。

次の日に食べたサッポロ一番みそラーメンにギャップ萌え。