普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

なんで今までバジルクリームに遭遇していなかったのか謎

休み明けの出社であった。最近月曜は在宅勤務としているので休み明けに出社をしている状態というのはレアケースだ。でも以前までは出社して仕事しているのが当たり前というかそうしないと仕事ができなかったわけなので時代は変わったものだと思う。この部分だけは本当にコロナ禍の功績といえるだろう。

上記のように言うと仕事が嫌とか出社が嫌とかそういう雰囲気が出てしまっているかもしれないが、そこまででもなかったりする。仕事、嫌いではないし。外出は気分転換になってよい。何より、常日頃から吹聴しているようにお昼ご飯でQOLブラッシュアップのチャンスが訪れるというのは何にも変え難い喜びである。

この日もお昼ご飯を食べるついでに出社をし、食事のおまけで労働してきた。しかもお昼ご飯はしばらく行っていなかった以前よく通ったパスタ屋と大決定しているという八百長ギリギリの勝ち戦である。

訪れたお昼休み。パスタ屋へ向かう。ガチガチの鉄板で勝利をつかむつもりで訪れたわけだけれど、ここでひとつ勝利に彩りを加えたくなった。いつ食べても最高においしいウニクリームのパスタを食べる気満々で赴いたが、ここはひとつ今までに食べたことのない味のパスタにしようじゃないかと。

しかし口はクリームパスタの口…そこから大きく路線変更はしたくない。逡巡しながらも今日のおすすめメニューを相手がヤンキーなら喧嘩が始まるくらいに食い入るように確認したところ、「きのことえびのバジルクリーム」なるものを確認。これしかない…!勝利の彩への活路を見出した。今日の勝利の色は緑色だ!ジェノベーゼではなくバジルクリームってちょっと珍しい感じするし。

そんなに、というか全然緑ではなかった

勝たないわけがない。これがプロスポーツであればリーグ再編が囁かれ、戦争であれば慈善団体から抗議の嵐が巻き起こるほどに圧勝につぐ圧勝であった。勝負にならないほどうまい。意味わからんけど。

このお店はどのパスタを食べても全部おいしいので知らないテイストを頼むことに少しも不安はなかったが、想像以上の収穫だった。自分史に新たな「うまいもの」が追加された瞬間である。

そういったことなのでこのお店はいつ行っても混んでいる。勤め先は12時より前に昼休憩に入るので席を確保できるが、12時からの休憩だったら絶対に待つことになる。実際この日も外に列ができていた。にも関わらず僕の後ろのお客さんは過疎地の喫茶店の午前中くらいのテンションで食後のトークを楽しんでおりハートどうなってんだろうとパスタをすすりながら思った。

あっという間に食べ終わり名残惜しみながらもお会計。店員さんは気持ち良いちゃきちゃきしたお姉さんなのだけど、会計のときもそのスタイルは崩さない。てきぱきと早口でお会計対応してくれた。いちおう準常連みたいなポジションで、いっつもウニクリームばかり食べているので僕の顔を覚えてくれており、この日もお会計時に何か声をかけえてくれたものの、ちゃきちゃきと早口で話かけられたためきちんと聞き取れず愛想笑いとも言えないぬるい笑みで乗り切った。

飲食店で勤めたことがあるひとならわかると思うのだけど、鉄火場の飲食店は時間の流れが通常時と異なる。全ての事柄を1分、1秒早く行う必要があるので脳がクロックアップするのだ。端的に言うと店員さんと僕で流れる時間の速さが違っていたに違いないという話である。それくらいに店員さんの言っていることを聞き取れなかった。鈍重にもほどがある。

おいしいものを食べられればけっこう機嫌がよいので午後は午前以上に上機嫌で労働し、なんだかよくわからない会議などに参加しながらも少しの残業ののち帰宅した。

パスタブーム到来の予感🍝と、毎回このパスタ屋に行くたびに思うのにそうならない不思議。