普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

ひとのメモ書きに対して勝手にストーリーを付け足す

昨日出社したとき、通勤経路の建物の壁に張り付いていた。

たぶん、そこにあるべきものではないながらも誰かしらの親切心で見えるところにと壁に貼り付けられたものだと思われる。行動原理は手袋が片方落ちているものをガードレールのポールのてっぺんにはめるみたいなものだろう。あんまり解決にはなっていないのだけど「何かした」感はある。

いやしかし、これはどうだろう。短文なうえに事情もまったくわからないが、完全に怒られているということだけはわかる。しかもこれは助走の段階でこの後全力こってり説教が始まる未来が見える。このメモを渡された人物は言いつけを破ったのだ。「1週間1万円」の教えを。

それはどんな約束だったのだろうと思いを馳せてしまう。食費だとしたら1週間1万円はかなり潤沢だ。それを平気で超過してきたらそれは怒られてしまうかもしれない。あるいは飲み代か。そうだとすると2、3回程度の飲み代だ。この場合金額よりその頻度を注意される可能性があるのでこのメモの雰囲気にはならないだろう。

僕の生活の範囲だと食費と酒代くらいしか断続的に発生する出費は考えられないが、世の中には色々なひとがいるものだし1週間1万円の何かを日々の楽しみにしているのだろう。

それにしてもこの怒られ方、初犯ではないのではと思わせるものがある。「言ったよね?」ということはこれまでにこの件で注意をしたことがあるのだということになる。その上でのルール違反を犯した1週間1万円以上奴に詰め寄っているのだ。しかもなぜかメモ書きで。

またメモ書きでというのが口頭注意よりも圧があるような気がする。これは(謎に)外にあったものだけど、家に帰ってこのメモがテーブルの上に置いてあったら荷物をまとめて旅立ってしまうかもしれない。一縷の望みで「いや、主語ないしまだチャンスはある…!」と思ったとしてもメモの主が帰宅するまで冬眠失敗をした熊ばりに家の中を歩き回ってしまうだろう。

あとたぶん、僕がこの手の怒られ方をされがちな人生だったのでこのメモに以上なまでの警戒心を抱いてしまうのだと思う。きちんとした人生を送ってきたひとはこのメモ書きひとつにここまで心を乱されない。

そもそも、家族間、もしくはカップル間で取り交わされているものと思い込んでしまっているが、仕事のメモの可能性だってないことはない。その場合メールなどを使わず物理で注意をしてくるというパワー案件であるのでケアが必要かもしれない。

あ、もしかしてギャンブル?ギャンブルだとしたら1週間に1万はどういう数字なんだろう。そして1週間に1万円までなら許容しているということなら寛大な処置かもしれないと思ってしまう。やはり内容次第でこのメモの印象は変わってくるのだなとそんなことを思ったのでした。