普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

命と引き換えのほかほかという世界線

ここ数年、如実に体重が増加した。元の体重が痩せ気味の数字だったので数字的に言ったら身長に対して多いということはないと思うのだけど、視覚的にどう考えてもそう思えない。

おそらく加齢による体のたるみだのなんだのという受け入れ難い現象が発生しているのだろう。ほんっとうに運動しないからな。そりゃ身体のお肉のみなさんだってほどよく弛緩するよね。気持ちわかるよ。

気持ちはわかるけど認める訳にはいかない。やらないよりはマシだろうとウォーキングをすることにした。平日はなかなか難しいけど週末はこれからウォーキングという名の徘徊をしようかと思う所存。

土曜に慣らし運転として近所を彷徨ってきた。特に目的地を決めず、うろうろと歩く。こういうの自体は嫌いじゃない、というかむしろ好きでまったく苦にならない。これでなんらかの成果が得られるなら儲けもんである。

独り歩いていると色々なことを考える。話す相手もいないものだから好き勝手にくだらないことでも頭の中で議論が進む。このときは歩きながら、どういうきっかけだったか忘れてしまったけど、電子レンジについて考えを巡らせていた。

電子レンジのない生活というのはなかなか考えられないけど、電子レンジって身体に有害って話があったような…もしかしてレンジを使わなければ寿命が延びたりってある得るんじゃないだろうか。じゃあ仮に、この先の人生レンジを一切使用しなかったら3年寿命が延びるよって言われたらどうする?と自問した。

使うよね。使っちゃうわ。僕は料理出来立て原理主義者なので温かい状態が適温であるものを温める手段がありながら冷めたまま食べるなんて我慢できない。安定したあつあつほかほかのために寿命を3年差し出してしまうだろう。電子レンジを使用するというのは食べ物をおいしく食べるための命の契約なのだ。ボタンひとつでものがあったまるなんてうまい話あってたまるか。あれは悪魔の器具だ!あとこずえ鈴のお父さんが電子レンジを発明したってすごい前にテレビで言っているの見たけどあれってほんとだったのかな?

などということを頭の中でぐるぐると考えながら夏空の下近所を闊歩した。ちょっと暑さにやられてそうな思考になっているけどまあ口に出さずおとなしくこの先レンチンライフを過ごしますので冷ややかな目みないでやってください。

実際のところ電子レンジに寿命を縮めるほどの有害性はないだろうし、あったところで今からなくすというのは不可能だろう。禁止されて違法レンジとか出回ったりしたら路地裏とかで”非合法あたため屋”が営まれたりするのかもしれない。ほかほか弁当を食べていたら訝しがられる世界線がそこにある。絶対に嫌だ。

こんなどうしようもないことを悶々と考えられるウォーキングっていいなと味を占めてしまったので今後も続けていこう。しょうもないこと考えているときが一番いきいきしちゃうなあ。