普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

ELEGY来日ってまじかよからのチケット購入までの逡巡

買ってしまった。ELEGY来日公演チケットを。

たぶんELEGYを知っているひとなんてほぼいないだろう。オランダのプログレッシブ風パワーメタルバンドで、90年代に一部のメタルファンをそれはそれは沸かせた存在であるわけなのだけれども、尻すぼんでいって2000年過ぎくらいに活動休止していた。

その一部メタルファンに当然僕も含まれており、いまだに好きなバンドは?と聞かれたときに食い気味で「え…ELEGYぃっ…!!」と、答えそうになるものの、前述の通り知名度の低い地方のB級グルメよりも誰やねん的存在であるため円滑な会話のために回答を差し控えるという事態を引き起こしがちなややこしい立ち位置のバンドなのだ。20代くらいまではそんなの無視して愛をひけらかしていたけれども。大人になって黙することも愛と知った次第である。

今回、来日するという情報は妻経由で知った。妻から突然「ELGEY来日するみたいだけど、あのELEGY?」と聞かれたのだった。”あの”の部分には僕のELEGYへの偏愛が含まれている。妻には結婚前からELEGYの良さを語り尽くしており、そして何ひとつ響いていなかったという経緯があるため、妻自身の興味はともかくELEGYという単語に引っかかりを覚えて声をかけてくれたというわけである。

正直、今のELEGY熱に対してチケット料金が釣り合いが取れているのかというと迷うところではあった。しかし、高校の頃から20代は円滑な会話よりもELEGY愛をとるほどには推しバンドであったので、中年となった今、あの頃の思いをいったん昇華させるという意味でもここはひとつ奮い立たなければならないであろうと本日チケットを購入した。

なんというか、実らなかった思春時代の思いをお金で回収みたいなことになっているような気もするけど、それでくするぶる思いが成仏するなら青春時代の自分に「おまえさん、将来ELEGYのライブを見ることになるんだぜ」と少々誇らしい気持ちになるというものだ。たぶん、当日会場には同じような思いのおじさんがぞろぞろ集まるんじゃないかと思われる。

ここまでもELEGY好き以外の方にはどうでも良すぎる胸の内を語ってきたわけなのだけれど、せっかくだからELEGY好きだったとしてもどうでも良い話をすると、今回の来日はメンバーラインナップから、ELEGYの中でも名盤とされる「STATE OF MIND」以降の楽曲をメインとして演奏されることが予想される。このアルバムからボーカルがイアン・パリーとなり、世間からの評判もぐっと上がった。実際良いアルバムだとは思う。今回の来日もボーカルはイアンであるとの由。

来日記念盤なんかも出ちゃってるらしい

しかし、僕が好きなのはその前までの4枚のアルバムで、エドワード・ホーヴィンガが歌うのくっさくさの哀愁ハイトーンメロディだった頃のELEGYであることを強調しておきたい。たぶん聞くひとが聞いたらずっこけるほどダサいと思う。でもそれが良いのだ。初めて聞いた当時は本気で憧れるほどかっこいいと思っていたけれども、どうやら世間ではそれらの楽曲はダサいというのだということを知った。それでもけっきょく「自分が良いと思うものが良い」の精神で好きでいられ続けることができた数少ない楽曲たちでもある。

でもこれらのアルバムからの演奏はないのだろうな。仮にあったら嬉しさとか興奮とか懐かしさで吐瀉すると思うのでいちおうエチケット袋とか持っていこうかな。念のためね。それくらいに昔の曲への偏った愛はある。

takian2000.hatenablog.com

 

ライブ前からこれだけ色々なことを考えられるのだから、やっぱりチケットとってよかったな。場所が渋谷なのは嫌だけど、10/19(土)を糧に10月前半を生きよう。