普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

Slipknotがかつての自分にとってのJUDAS PRIESTになっていることにちょっと引いちゃったよ

ふと気づいた。Slipknotが1stアルバムを出してから20年以上経っている。専門学校に通うために上京をしてきた年に知ったのだと思うから1999年か。めちゃくちゃ前だな。

あの当時、音楽性、ビジュアル、ライブパフォーマンス全てにおいて度肝を抜かれたものだ。あんなバンドいなかったものな。The Berzerke(オーストラリア)がいたじゃないかと言われればまあそうなのだけど、あれはまた趣旨が違う。

センセーショナルにデビューして、あっという間に世界を釘付けにしたバンドももうデビュー20年以上。大御所である。

そこで思ったのだ。今やSlipknotって、僕らが高校生くらいのときのJUDAS PRIESTやIRON MAIDENのポジションなのではと。僕が高校生だったのは90年代中盤から後半くらい。そこから20年くらいを引くと70年代の中盤から後半なわけなのでJUDAS PRIESTなどはまさにといった感じだ。まだメタルゴッドと言われる前、ロブ・ハルフォードがロッカローラという曲を志村けんみたいな髪型で優しく歌っていた頃だ。(曲としてはよいです)

当然僕は後追いで両バンドを知ることになり、その匂い立つヘヴィメタルの虜になったわけだけど、Slipknotでも同じことは起こっているのだろうか。エクストリームミュージックに目覚めたキッズたちが古きよきバンドも聞こうじゃないかとSlipknotを聞く。

あれ…なんかモヤっとするこの気持ち、なに…?なんだろう、Slipknotのこと新しく出てきたバンドだなーという気持ちでいたのに古参とされていることにモヤりを感じるのか?いや、認めねばならないだろう。僕はもう立派な中年。懐メロバンドとなりつつあるのだ、Slipknotは。メロあんまりないけど。おじさんになるというのはこういうことであり、こういう気持ちなのだな。

だがしかし。「あの頃はよかったよ。それに比べて今のバンドは…」「そんなチャラついたズンドコ言ってるバンドじゃなくSlipknot聞けい」には断じてならない。僕が若かりし頃にそういうおじさんたちはいたが、「知らんがな」としか思えなかったからだ。僕は心の中でひっそりとSlipknotの1stアルバムを愛でる。

キッズは1stを聴いてどう思うのだろうか。音が悪いのは確かだが、楽曲としてはかなり斬新であったと思う。"20年前の音楽"として古臭く感じたりするものかぜひ感想を聴いてみたい。

JUDAS PRIESTやIRON MAIDENに関して言えば音は確かに悪かったけど、自分が好きなバンドのルーツはここにあるのだなと非常に勉強になった記憶がある。スルメ的要素は否めなかったが。今のキッズもSlipknotに同じ感想を抱くのだとしたら興味深い。

これだけSlipknotのこと言っているのに実は1stをめちゃくちゃ聴いて2ndで少し「あれ?」となり、3rdからはほぼ曲を知らない。そんくらいの感じなのになんだか胸アツみたいな熱量で語ってしまって申し訳ねえ。僕は結構荒削りの1stアルバムとうのが好きで、そこでオリジナリティや勢いがウケて売れたは良いものの、2ndアルバムから垢抜けるとスっと引いてしまう部分があるのだ。LostprophetsとかAlexisonfire、Across Five Aprilsなどがもろにそれだった。Alexisonfireが本格的に売れて垢抜けたのは3rdからだけど。

実際のところ良い意味で垢抜けているのは間違いなく、曲も洗練されているのは理解できるし、「あー、これは売れるな」とは思えるのだけど、そのスマートさがどうも馴染めなかった。泥臭さというか不器用さというかそういうものを感じたかったのだ。売れないと解散しちゃうので大いに垢抜けるべきなのだけどね。ちなみにLinkin Parkは2nd聞いたときに「5thみたいな出来だな…」と思ったことはショナイな!

すっかり懐メロ回顧録になってしまった。何がいいたいかっつーと青春時代に心に刻みつけられた音楽というのは一生ものになっていくのだなということだ。今のキッズが聴いている最新のバンドもいつかSlipknotJUDAS PRIESTのようなポジションになり、回顧の対象となっていくのだ。感慨深え。JUDAS PRIESTなんてメタルゴッドって言われているけど、そろそろ仏になっちゃうかもしれないからね。メタルブッダっつってな。なんちゃって!

さあ、軽快な昭和サンオツギャグもでましたし本当に怒られるんじゃないかという不謹慎ぶりを発揮してしまったので今日のところはさらばです。

街角Slipknot選手権 #5 グレイグ