普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

1人飲みに新たな船出

年度が変わって初日。ふだんであれば特にそう意識することもなく連綿と続く日々の1日でしかないが、今年は務める部署のボスがかわったということもあり、意識せざるを得ない年度の始まりとなった。

ボスが変わったといっても僕にはそう影響ないので特に気にしないという不敬さは持ち合わせているが、今日は月曜で在宅勤務の日である。その業務開始の連絡に新ボスもCcにいれないといけないという部分に悩んだ。

新ボスとはまったく面識がない。むしろどんなひとかも知らない。ルール上Ccに入れないといけないけど、知らないひとということを考えるとまったくなんの挨拶もないわけにはいかない。けれども、そこで本格的によろしくお願いしますみたいな挨拶するのもなんだか違うような気がする。ついでっぽさがすごい。同じ島のかんぺいちゃん(声が間寛平に似ている)に相談したら「え、別に挨拶とかいいんじゃないですか」との回答だった。強おじすぎるだろ、かんぺいちゃん。もっとサラリーマンらしくあれ。

けっきょく、「今日は在宅勤務ですまんけど、明日出社するから改めて挨拶するね」的なことを丁寧に伝えことなきを得た。か、どうかはわからない。こういうのってどういうふうに振る舞うのが正解なんだろうか。でもいちおう新ボスからの返事があって、当たり障りはないながらも戸惑いは感じる返信だった。ミスったかな。

年度の初めはそんなことでわりと通常運転気味だが、年度末は少し浮かれていた。なんだろうな、年始よりも年末のほうがそわそわする感じ、ないですか。僕はそういうタイプでこれまでの人生やってきております。

前年度最終日は金曜だったので本来であれば透析日だったのだけど、夜は飲み会なんかあるんじゃないかなとうっすら期待して透析日をずらして身体を空けることまでしていたくらいだ。前までよく飲みに行っていた定年派遣おじさんもふだんとは在宅と出社の日が全然噛み合わなくて数ヶ月会ってなかったけど、久々に出社がかぶるし、これはもう飲み会待ったなしである。

そう思い、勤務中に「きょうどっか飲み行くんすか?」と尋ねたら行くとも行かないともいうふわっとした返事。え〜、そうは言っても業務終わりにお誘いなんかあるのかななって思って定時で仕事を終えて定時ダッシュ待機をしていたところ、いつのまにやらおじさんは消えていた。

え、まじで。ちょっとショックだな…というか飲みに行く気満々だったんだけどどうしよう。最近飲みのお誘いもできてなかったから愛想尽かされちゃったのかな。などということを考えたが不発に終わってしまったものは仕方がない。リカバリーに走らなければとこれからでも誘えそうな飲み仲間に声をかけてみたりした。しかしこんな時に限ってつかまらない。そんなもんすぎる展開である。

家に帰ればいいだけの話ではあるのだけど、この日はあらかじめ飲みに行くことを宣言し、その許可を得ているわけなので、素直に家に帰りたくない自分がいる。シューティングゲームのボムは使い切って補充を受けたいという貧乏根性と同じだ。

こうしてうつろな気持ちのまま自宅近くの駅まで来てしまった。ここで持ち前のマイペースさが顔を出し始めた。誰かと飲みたいという気持ちでここまできたが、だんだん「飲めればいっか」に気持ちがシフトしていく。そうなると気が楽なもので、ふだん気になっていたけど行ったことないお店に1人で行ってみようのフェイズに移行である。1人で知らないお店に入るなんて久しぶりだ〜ともうご機嫌なので我ながらちょろい。

こうして入ったお店で一杯やりはじめた。

いも焼酎ロックとレア鯵フライ

1人で飲むのもよきものだなあとじわじわとテンションをあげることにお酒とおつまみは甚大に寄与してくれたのだが、駅前の一等地のお店だからなのか、他店で同じようなものをオーダーしたときよりも3割くらい値段に気高さを感じる。

よし、今日はもう1人で飲むと決めたし、ここで全弾打ち尽くすのではなく、戦場を変えてみるのもありだなとそこそこのところで店を後にした。

もうしらふじゃないし、一本路地に入ったお店くらい行けちゃうテンションである。そして時間もまだまだ早い。どうするかと考えた末に、家の近所にある誰がどう考えても常連しか行かない個人経営のこぢんまりとした居酒屋を思い出した。行くなら今しかない。

結果、行って大正解であった。それというのも、読み通り常連が集まるお店ではあったものの、お店の方も良い方、常連の方も気の良い方々で、極め付けは乳幼児を連れて行っても良い、というかわりと歓迎ムードであったことだ。お店にバンボが備え付けられているらしい。お店は夫婦で営まれており、お子さんが常駐しているようだったのでたぶんそのお子さんが使っていたものなんだろうな。いずれにせよ大助かりであるのには違いない。お子さんにとってお店が居間みたいになってるのってちょっと羨ましい。人見知りしない子に育ちそうだなあ。

常連さんとの会話もそこそこ弾み、お店の方とも雰囲気よくお話しできたので確実にまた近いうちに飲みに行くに違いない。最近行きつけのお店も閉店してしまったので1人飲み難民になっていたが、新たな港ができそうで嬉しい次第。

おじさんと飲めなかったのは残念だったけど結果オーライだったな。こういうところの縁って大事にしていきたいので素直にありがたがっていこうと思います。