普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

フィクションだとしても怖い

Twitter(X)が何やら騒がしかった。「旦那デスノート」という言葉で。見かけた投稿には書籍の写真が添えられており、「ああ、そういうネタ本ね」と流しそうになったがその帯は凄まじかった。

夫のことがとにかく憎くて仕方がない妻たちの夫への行動が帯に書かれているわけだけれども、その中でも「旦那の歯ブラシで毎日トイレ掃除してます」が一番生理的に無理だった。えぐい。

そもそもこれ、トイレ掃除に使った歯ブラシを使っている人間が一つ屋根の下に暮らしていて、同じ食器使っていて、場合によっては大皿料理とか一緒に食べたりとかしているんだとしたら妻にも夫にも何一つ良いことがなくて愚行そのものなのではと思ってしまう。憎しみフルスイングで行動していて冷静さを欠いてしまっているのかも。

帯に戦慄し、うちはそうでありませんように…と、過ごすこと数日。「旦那デスノート」という言葉をその後もTwitterで何度も目にすることとなる。投稿内容のニュアンス的に本のことを言っているのではなさそうだ。ここはひとつ人類の叡智、インターネッツだなとぽちぽちと「旦那デスノート」と検索。すると「だんなデスノート」というサイトがトップに表示された。

これか。これが書籍化されたわけか。せっかくなんで内容をば、とサイトを覗こうとしたが、会員登録しているひとしか見られない仕様のようだった。さすがに登録してまでは見ることもないなあとページを去った。

が…

やっぱり内容はちょっと気になる。こういう下世話なことならTwitterに限る。Twitterで「旦那デスノート」を検索してみると出るわ出るわ。どうやらここ数日のどこかのタイミングでトレンド入りしたらく、けっこうな数の投稿がある。

その中には「だんなデスノート」へ実際に投稿された書き込みされたもののスクショもあり、その内容に背筋が凍った。

普通に夫に毒を盛っているといった内容が嬉々として、そして苛立ちを添えられて投稿されているのだ。果たしてこれは本当なのか。本当だとしたらお縄案件である。内容を読むにフィクションでもちょっと笑えない。この辺りの笑いの理解者がどれほどいるのかわからないがそんなに多くないような気がするけどな。

毒を盛っているのもどうもひとりやふたりではなさそうだ。その中のひとりは毒盛り日誌をこさえており、毒を盛った夫が日に日に具合が悪くなる様を数回にわたって投稿していた。あれ、本当なんだとしたら年内保たないぞ、というくらいには露骨な体調の変化が訪れている。

もうシンプルに怖い。それは世の中綺麗事ばかりでないことはこの年齢になれば理解はしているつもりだが、一度は「このひとだ」と思って結婚までした相手にそこまでできるものなのか。そしておぞましいとまで思える相手なのに離婚という決断に至らないという不可解さもある。いくらお金のことだのこどものことだのあったとしても僕が同じ立場ならそんなふうに思う相手と1分1秒でも一緒にいたくないと思ってしまいそうだ。

こういった露悪的なサイトというと00年代前半の2ちゃんねるなどを思い出すが、そういっためくった石の裏みたいな場所ではなく、SEOバッチリで検索トップにでてくるのだから重ねておののく。

ただ、夫を憎む妻の投稿内容的には「そりゃ夫さんダメよ…」というエピソードがあるので夫を疎ましく思うところまでは納得できた。問題はその先よね。

あと気になるのが毒盛り妻だったり便所歯ブラシ妻だったりのひとびとはきちんと掃除したり夫への料理は作ったりはしているのが意外だ。嫌いな人間へのほどこしなんぞ1ミリだってしたくないものだと思うけどな。これはただ単に僕の心が狭すぎるだけという可能性がある。というかそれしかない。

今日、家に帰ったら妻に旦那デスノートのことを知っているか聞いてみよう…(知らないと言われたらそれはそれでどきどきする)