普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

生肝調達班

自分の身の回りのひとたちが健康に平和で暮らしていけるのであれば、世の中の大抵のことはどうでもよかったりする。そして世の中で起こっている大半のことは直接的に周囲のひとに影響を及ぼすことは少ない。それは昨今のコロちゃん騒ぎも同様だと考えている。

しかし、ことが長引いてしまって経済が傾いたりしてきたら話は別で、透析が受けられなくなるほどの事態になったらいよいよだ。そもそも僕は生きていられなくなる。腎臓移植をしない限り。

と、そんな話を先日散歩をしている最中に妻とすることがあった。妻はたいそう不安がり、そんなことになったら暴れるかもしれないとのたまった。いや、そうカリカリしなさんなよ、間違っても他人に危害をくわえてはいけないよと諭してはみたがおさまりそうにない。

勢いでひとを殺めてしまうことだってあるかもしれない、と少し暴走気味な発言も飛び出した。まあ、あくまでもその場のノリで言っているだけではあったのだけど。そしてどうせならと遺体から腎臓をもぎとって僕に提供してくれるそうだ。しかし適合する腎臓を移植しないと拒絶反応を起こしてしまう。ならばと適合する腎臓を見つけるまで行為に及ぶとの由。

シリアルキラー爆誕である。

しかも殺人のあと腎臓を抜き取っていくという猟奇的な一面を持ち合わせている。しかしその実、夫を生きながらえさせるため、夫に適合する腎臓を探し求めているという悲壮な由縁があるのだ。

ここまできたらちょっともう都市伝説めいた話になってきていると思う。というか夫はなにしてんだ。止めろ、妻を。適合する腎臓を待ってんじゃないよ。きちんと正規のルートで腎臓をお待ちなさい。

誤解があるといけないのできちんと説明しておくと、上記は僕と妻のピースフルな状態での会話であって、とても和やかな空気であったことをご理解いただきたい。心の中でどす黒いものを育んでいたりはしない。

今回の話はディティールとしてもう少し細かいところまで掘り下げたいところだが、程なく散歩も終わり、今回のような着地点となった。でもやっぱり名前は欲しいよな。口裂け女とか、てけてけ、とかそういう呼称が。ていうか妻なんだけど。

有名都市伝説に登場する存在はやはりキャッチーさがあるのだろうと思う。それも話が拡散される要因のひとつではあるのだろう。

それにしても…いま妻のことばかりにスポットを当てていたけれど、影には腎臓を病む小男が夫として存在するというのともなかなか興味を引く話になるのだろうか。なんなら最終的に夫の指示で腎臓狩りを行う狂人にしたてあげられた、とかになってるかもしれない。

そういう話の変遷なども生まれるとまた都市伝説っぽくて僕好みだ。

当然最終的に適合するとされる腎臓を移植するけれど、謎の苦痛を味わいながら夫は息絶えるのだ。て、本末転倒だ。

 

どなたか話まとめていい具合にサイコサスペンス風にしたてていただけないものだろうか。

 

あ、ちなみに僕は腎臓と肩幅はいつでも募集してるので余ってる方はぜひ贈ってください。