普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

父にキレ散らかしたあの日の父側の立場になってしまっている

お酒を飲むと人間としてのスペックが著しく低下する。これはひとによると思うのだけど、僕の場合は少なくともそうだ。ひとによってはちょっとくらい引っ掛けていたほうが頭の回転が速くなったり行動力が上がったりするひともいると思う。僕はどうかと問われるともうなんだか色々なことがどうでもよくなってくる。何にしても「まあいっか」になってしまうのだ。多分シラフのもう一人の僕が横にいたら「いやよくねえよ」とツッコミまくることだろう。そのくらいには思考が雑になる。

色々雑ではあるけど基本的に上機嫌なのであまりひとに絡んだりとか怒ったりとかそういうのはないが、最近記憶をなくすようなことが頻発してくるようになった。これはまずい。雑なだけならいいが(よくないけど)発言を覚えてない等はひととして信用できない。

子供のころ、父親が親戚の集まりで酒によって上機嫌になっているところに顔をだしたところ、その場を盛り上げたかったのか「あれやってよ、マイケルジャクソンのモノマネ」と無茶振りをしてきたことがあった。え、普通に嫌ですけどくらいのリアクションをしたところ「じゃあ、やってくれたらファミコンのソフト買ってあげるよ」と提案してきた。

なんですと。そのとき僕はファミコンソフト”ドラゴンボール 大魔王復活”が欲しくてたまらなかった。でも口実がなくねだることができずにいたのだ。これはチャンス。一時の恥でファミコンソフトなら安いものだ。思い切ってやってやれ。

 

ポォォォーーーーーーーーーーーーッッ

 

腰を素早く動かしマイケルのモノマネを披露した。

結果まあまあウケた。これでファミコンソフトまで買ってもらえるのなら良い取引だ。父からファミコンソフトが手渡されるのを待とう。

その後、しばらく経ってもファミコンソフトは与えられることはなかった。何かおかしいと父に「あのときの約束は…?」と問うたところ、「ん?約束?」と返された。え、ちょっと待って、マイケルとファミコンソフトのこと覚えてませんか。話が違うんですが。「あ、ごめん全然覚えてないや」とのたまう始末。

めちゃくちゃキレた。結構仲の良い親子で喧嘩なども滅多にするようなことがなかったが、このときは烈火の如くキレ散らかした。こちとら恥をしのんでひと前でいちかばちかのマイケルっぷりをかましたというのに約束不履行とはどういう了見ですかあなたは。しかもその理由がお酒って。大人ってのはこれだから…

という大人に今なっているのだよ、僕は。由々しき問題に気づいてしまった。かつての怒られる側になっているじゃないか。お酒による約束不履行、大いに気をつけて行こうと思う。いや、ほんと気をつけます。

ちなみにファミコンソフトについてはこのやりとりの後速やかに与えられた。父はいい加減な約束はするものの子を大事にするひとであるのは間違い無かったので焦って約束を守ったのである。めちゃめちゃ懐かれてる息子からあんだけ怒られたからさすがに焦ったのもあると思う。

こういった悲劇をなくすために最近お酒が深くなってきたなという頃にメモをとるようにしている。起きた時に前の晩のことを思い出すことが難しくてもきっかけがあればわりときちんと思い出せるものだ。記憶の引き出しに放り込んだものの取手がなくて開けることができなくなってしまっていたところの取手としてのメモというわけである。

今のところうまく行っているような気がするが、これは多分本当に深酒したときはメモをとることすらままならないという日が訪れるのではという予感もしている。

ま、お酒はあくまでも楽しくが鉄則ですな。本当に切実なんで飲酒時の記憶を維持する方法があったら教えてください。

飲まない?ないない🥃

 

お酒を飲んでもきちんとお世話しているサボさんの写真でお別れです。