普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

シタールで人生をアバンギャルドに

え、ちょっと待って。年末ってマジですか。

気づいたら今年最後の週に突入しているではないか。昨日クリスマスだったのにその1週間後に年が明けているだなんて信じられない。例年もう少しクリスマスと年明けの間に時間あったでしょう。絶対去年と仕様が変わっている。神様がカレンダーの使用を変えたのだ。エクセルで無駄な列を削除するみたいに去年まであった日がどこか削除されているに違いない。

動揺してみたところで今週で今年が終わってしまうのは抗いようのない事実。僕は神様の仕様変更に対してctrl +zを繰り出す術を持ち合わせていない。残り少ない2022年を少しでも有意義に過ごそう。

欲しいものを手に入れるというのも気持ちが満たされるということである意味有意義と言えると思う。これといって欲しいものがあるわけでもなかったのだが、昨日買い物に出かけた際にショウウインドウの展示物に心が動かされた。

シ…シタール…!!

シタールである。しかも2万円ほど。ジャンク品であるといえどもあまりにも安い。というか楽器として安い。思わず衝動買いしてしまいそうになったが、勢いで購入し持ち帰ろうものなら妻からバチボコに叱責される未来が見えた。王蟲を隠すナウシカムーブみたいなことをかましてしまうところだったよ。「きちゃだめー」っつって。ナイス予言、おれ。

そう思い購入はぐっと我慢したものの、シタールといえばちょっとした出物感がある。やはり発見の喜びは共有したい。妻にシタールが売られていたことを報告したところ、

「え!シタールいいね!安いし!」

とのリアクション。

そうなんですか、そうきちゃうんですか。これは年の瀬に今年最もふわっとした欲しいものを買ってしまうかもしれない。子が生まれたタイミングに現れたシタール。これはもう兄弟同然。シタールと共に人生を歩んでもらうしかない。弟はシタールですと言って弟の身を奏でるのだ。アバンギャルドな人生、結構。

妻が思いのほかシタール受け入れ体制が整っていたのは理由があった。ずいぶん前にBUCK-TICK(バンド)がテレビ出演の際にギターの代わりにシタールを持って出演したことがあり、その映像を見ていたので”シタール=なんかかっこいい”というイメージが形成されていたのだ。BUCK-TICK御大のやることにゃ間違いがねえ、というわけである。

それにしてもシタールなんて売っているものかと驚いたが、売られていたお店があるのは高円寺。シタール、ありそうでしかない。日本のインドと呼ばれるこの街にシタールがあるのはごく自然だなと思い直すのであった。これが西荻窪あたりだとウッドベースとかそのあたりのものが似合ってくるので街のイメージってあるものだ。

仕様変更の年末、思いきった買い物(物品として)もありかもしれない。