金曜の透析前はからあげクンを買うこととしている。金曜は概ね出社をしているため、駅から透析クリニックの道すがらついつい買ってしまうというわけだ。
ベーシックからあげクンの中でもチーズを好んでよく食べる。あれはカップヌードルで言えばカレーヌードルポジションであるといえる。不動のスターに違いない。しかしからあげクンといえば限定味が売りであることは誰もが知るところであるだろう。
今日も透析前にローソンに寄り「さーて、からあげっかな。」とホットスナックケースに目をやったところ、”グルメソース味”なるものが売られていた。グルメ味って概念すぎないか。というか何味なんだとつい購入してしまった。
買ったはいいが、あまりにも概念すぎるので少し調べたところ、どうもこの名前と顔で通じるひとには通じる程度に有名なものであるようだった。吉田さんが渡米しこのうまいタレを開発しなんかいろいろうまいことやってアメリカンドリームを掴んだらしい。その立役者がこのソースであり、食品界のキティちゃん(仕事を選ばないことで有名だ)と名高いからあげクンとコラボとなったわけである。ちなみにからあげクンとしてはグルメソースだけど、本来はヨシダソースが通称らしく、その名前の方が通りがよいようだ。商品名にするにあたりヨシダソースではなくグルメソースになった経緯が知りたい。会議とか荒れてそう。
購入してからでないと見ることができない部分にざっくりどんな味かわかる説明書きがあった。
ヨシダソース販売元の会社は元を辿るとみりんや料理酒を販売する会社であったようで、このヨシダソースはお家芸の集大成みたいな代物だったということである。
前情報は整った。ひとまず食べよう。
食べた瞬間に思った。
うん、これは唐揚げだ!
何を言っているのか。からあげクンなんだから唐揚げで当たり前ではないかと思うだろう。しかし考えてみてほしい。例えばからあげクンチーズ味、からあげを名乗っているがほぼナゲットではないか。チーズだからそう思うのではなく、プレーンであったとしても同様だ。たぶんナゲットっていってもピンとこない層に向けて”からあげ”と歩み寄っていたが、その実ナゲットであった。関西弁をめちゃくちゃ喋る欧米人みたいなイメージか(たぶん違う)
しかしこのヨシダソース味を食べて思ったのだ。唐揚げであると。
それも当たり前の話である。裏パッケージにも書いてある通り、醤油とみりんで味つけられているのだ。それは唐揚げを作る時の味付けに他ならない。そりゃ唐揚げだ。
唐揚げだなあと思いながら食べつつ、からあげクンの数奇さに思いを馳せた。
ナゲットである自分を偽りからあげとしてデビューをし、さまざまなフレーバーとコラボを果たす。時には手羽先の”世界の山ちゃん”と一夜を共に過ごすこともあった。そんなときでも「自分はどうせナゲット…」と心の中で泣いていたのだ。
しかし世界的に著名であるヨシダソースとのコラボが大決定。アメリカの大物とのコラボとだけ聞かされていたので「自分自身、名前はからあげなのに仕事はほぼナゲットだな」とさめざめと笑ったことだろう。
それがどうだ。いざ共演してみたらこれはまさに日本の味。そのうえ自身の名称でもある”唐揚げ味”だ。逆輸入的に唐揚げとなり、史上初、名前と味わいが一致したのだ!いやあ、仕事選んでなくてよかったよね!からあげクン!
というようなことを想像してみたが、この手の味が初めてかどうかも知らないし、日本風のフレーバーっていえばまつたけポン酢風味という非常に評判が微妙なフレーバーもあったようだ。なにはともあれ逆輸入的に唐揚げになったのはミスマッチ感がありおもしろい現象だなと思った。
からあげクンは1986年生まれなのでもう立派な大人だ。大人として、嘘偽りなく「自分、からあげです!」と胸を張れることを誇らしく思っていることだろう。
こりゃもう近々商品名が”唐揚げさん”になる日がくるな。