普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

なんか間違った感じの運命的出会い

昨日は特に何か予定があったわけでもなかったが休暇を取得していた。強いて理由を言うのであれば「ぼーっとしたかった」があてはまるだろうか。実際日中はぼーっと過ごした。何もしていないくせに「そうだ、これがやりたかったんだよ」と謎の達成感を得られたのでコスパがよいと考えられなくもない。

昼間はそうして過ごし、妻が帰ってくる頃には夕食の支度にとりかかった。なんだかどうしても大葉がふんだんに使われている料理が食べたくなって、炒めたり和えたりと大葉無双を発動し、妻からの好評を得た。なかなかよい休日じゃないか。実質何もしてないのだけど。

食事中にどういった話の流れからか僕がギターを始めたきっかけの話になった。どこかのバンドの影響などかと問われ、記憶を辿ったところ「バンド」というのであればBUCK-TICKだなとは思ってみたものの、厳密にはそうではないという結論となった。

僕がギターを始めたきっかけは中学校のときの先輩だ。

僕は中学の頃少々特殊な環境で過ごした期間ががある。詳しいことは下記エントリーあたりに書いてあるのでよかったらどうぞ。

かいつまんで言うと病院に入院しながらその付属の学校に通っていて、先輩はその病棟の患者であったと言うわけだ。先輩はなんの躊躇もなく病棟内に轟くボリュームでギターをかき鳴らしていた。一応病院なんですけどね、そういうのお構いなしでした。先輩。ある意味ロックだ。

先輩が弾いていたのはBUCK-TICKのjupiterという名曲。

アコースティックギターストロークが美しい叙情的かつ儚げな曲である。

しかし先輩はロックのひと。そんな風情などくそくらえとばかりに思い切り歪ませた音色でアコースティックギターのパートを完奏していた。それはもう何度も何度も。こういっちゃなんだけどこの曲の醍醐味をまるごとぶん投げる所業である。

本来であれば上記が正しい感じ方なのだろうが

「か…かっけ〜〜!!!」

どうも僕はズレていた。歪ませまくったダーティーなジュピターのアコースティックギターパートに深い感銘を受け、自分もあんなふうにギターをかき鳴らしたい!と思ったのである。我ながらどうかとは思う。そりゃ後々メタルにもハマるはずだ。

実際そのあとギターとアンプを買い、それなりすぐ飽きたりしながらなんだかんだで人生で最も熱量を注ぐもののひとつとしてギターと向き合ったのだった。

先輩のあのむちゃくちゃなjupiterがなければどうなっていたことやら。ちなみにその後自分でもjupiterを歪みギターで演奏してみたが「なんじゃこりゃ」と思っただけであった。ギターを弾いたことがない状態で聞くと言うのが重要だったのかもしれない。パッションね、パッション。知らんけど。

こんな話を妻にしたところ、なんかひねくれてて僕らしいねという言葉をいただいた。確かにひねっくれてはいるよな。

思えばこの病院生活、思春期真っ直中だったので、様々な価値観を育んだ期間でもあったな。今日のところはこの辺にしてまたそのあたりのことを書いてこうと思います。

 

昔なんかの気まぐれで撮った愛機の写真。

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