普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

いそうな所にいそうなひとがきちんといる街

昨日だいぶ夜更かししてしまったのと深酒をしすぎた影響か、午前中かなり遅くに目覚めた。最近休日の起床時間が遅すぎて後悔することが多いので気をつけなければ。

遅く起きたうえにそこから朝ごはんを準備して食べるくらいであればいっそのこと外食してしまえばよいのではと妻に提案したところ、それなりに乗り気だったので急ぎ支度を済ませ家を出る。

今日は冬でありながらも穏やかな陽射しで風も吹いておらず、のんびりと外を歩くには最適の日であった。こういう日にぶらりと外を歩けることを幸せに思う。ちなみ歩いている最中、僕はあまりひとに話す事のないような自説を妻に展開することがままある。考えようによっては説法のようであり、妻の思考を僕側に寄せようと必死なのかもしれない。しかし妻はマイペースなのであまり通用していないようにも思える。結局のところ聞いてくれればそれで良い話なのでどちらでも良しとしよう。

それなりに歩き到着したのは阿佐ヶ谷駅前の喫茶店gion。おそらく混んではいるだろうなと予想はしていたが、お昼時ということもありがっつり満席であった。これは無理かもしれないなと一度店を出て、他の店を検討しようとしたものの、「この店に来る」つもりでいたので代替案が浮かばなかったので結局空きを待つことにした。

さほど待つこともなく入店でき、案内されたのは壁側の少し狭めの席。おしゃれな店内でありながらも広くはないので隣との距離がまあ近い。会話が筒抜けというかその気になれば隣の席のひととゼロ距離で会話できるほどだ。

それ自体はよいのだけど、隣席にはなんというか独特な組み合わせの方々が座っておられた。老婆とモヒカンのお兄さん。親子ということもなさそうだし、ますます謎が深まったが、どうやらひと待ちをしているらしい。モヒカン兄さんは独特なしゃべり口で、なにか一波乱起こしてくれるのではと実は内心期待してしまった。

妻とぽつりぽつりと会話をし、オーダーしたものを待っていると隣席の待ちびとが現れた。これまた若いとは言えない老年手前くらいの男性。どういうつながりなんだ?陰謀論仲間だったりするのかなと会話に耳をそば立てていたところ、どうもモヒカン兄さんはクリエイティブ系のひとらしく、自分の作品と思われるもの、良いと思っている作品などを老年男性に渡していた。老年男性は界隈(何界隈かは謎)に顔が効きそうな雰囲気を持っており、その男性と懇意にする会なのだなと僕の中で結論づけた。

モヒカン兄さん、まあよくしゃべる。そしてその内容の端々に織り交ぜられているサブカルワード「つげ義春」「さくら玉吉」「ニューロティカ(のあっちゃん)」等々とサブカル見本市のようであった。

僕もその手の話題は好きではあるのだけど、ああいった場で周囲のひとに会話がだだ漏れの状態ではつらつと話題とすることはできないかもしれない。覚悟が足りないということだな。なんのか知らんけど。

オーダーしていたナポリタンも到着し

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妻との会話もそこそこに食を進める。漏れ聞こえてくる隣のモヒカン兄さんのお手本のようなサブカルを絡めた会話。そこで僕は思ったのだ。

「ああ、阿佐ヶ谷にいるな…!」

と。

阿佐ヶ谷にサブカル成分濃いめの街という偏見を持っている方がいるのだとしたらこう言いたい。「思ってるままの街ですよ。」誤解のないように言っておくと良い意味ですのでな。そこのところはご理解賜りたい。ちなみに一緒にいたばあちゃんであるが、なんだか途中、脈絡なく泣き出していた。やはり濃いめだ。

兄さんたちは次の用事があったらしく退店して行った。はー、静かになりましたなと隣の席のその先を見るとその席の客も見せを出ようとしていた。風態が「あと10年で京本政樹」といった人物でやはりここは阿佐ヶ谷なのだなと心に刻み直した次第である。

せっかくの休日をのびのびと過ごしたかったが今日は透析をしなければならない。最近しばらく考えるのをやめてしまったいたけど透析中の過ごし方をまた考えてみようかな。いっそのことサブカルにどっぷり浸かる時間としてもよいのかもしれない。