普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

ビデオテープって味わい深い媒体だな…

ビデオテープといえば記録媒体として一時代を築き上げたものであるというのはある程度以上の年齢のひとであれば否定の余地はないだろう。僕の生きてきた人生にもガッツリ食い込んできたことは言うまでもない。

そのビデオテープ、イカした記録媒体であったのだけど、記録できる情報量が豊富とは言い難い。何より場所をとる。我が家にも段ボール数箱分のビデオテープがあり、その扱いについて思案に暮れていた。いや、正直にいうとデータ化すればよいという答えは出ていたのだけど面倒で行動に移していなかったのだ。

10年以上前の引っ越しの時に段ボール詰めされて、それから引っ越しのたびに開梱されず、開かずの段ボールと化していた。たぶん整理整頓ができるひとであればある程度のところで割り切って箱ごと捨てるくらいの思い切った行動がとれるのだろう。でも僕は超絶にモノが捨てられないタイプである。そこまで合理的にドライになれなんだ。

音楽系、その中でも販売されていたものは正直今の時代ネットで(合法ではないにしても)見られる可能性はいくらでもあるが、自分で録画したテレビ番組は真のデッドストックとなっている可能性は大いにあり、ひょっとしたら資料としての価値まで出てしまうものまであるのではというのも捨てられない理由のひとつであった。深夜枠のわけのわからん音楽番組とか。

これまで妻に邪魔だ邪魔だと言われ続けながらもその場凌ぎの謎理論で状況を維持してきたが、今回の引っ越しでついに妻の我慢メーターが決壊した。ついでにいうと僕自身「あれ、これ邪魔だな」と感じたのだ。これが目覚めるという感覚か。

ビデオテープをPCにデータとして取り込むグッズを早々に購入し、日々の作業が始まった。デジタル化作業しているとはいえ元がアナログなのでビデオデッキで再生しながらデータをハードディスクに送ることになる。つまりビデオに収録されている時間だけ時間がかかる。懐かしい言葉でいうところのダビングだ。この令和の時代ダビングにここまで時間を割いている人間というのもなかなかいないだろう。

僕にしてはなかなか頑張った方で、段ボールに収められていたビデオも9割方デジタル化が終了。さてお次はと手に取られたビデオはこちら。

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呪いのビデオである。

「え…?誰の?」

という思いが去来した。このビデオ、僕の持ち物ではないのだ。いつの間にか所有するビデオに呪いのビデオが紛れているとかちょっとピリッとした空気になりそうなものであるが、「ま、いいか」と特に気にせずダビング作業に移ることにした。細かいことは気にしない。ビデオを取り出そうとしてパッケージを開けるとそこには…

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え、なに?これどういうこと?ていうかどういう意図?こわいこわい。呪いのビデオの中身よりもこのパッケージのほうがめっこわじゃないですか。

左のほんわかアイコンに取り囲まれたピースフルな貞子も謎すぎてこわいが、右側の余白たっぷりに記された「Michael Jordan」がさらに意味がわからない。いやちがうじゃん、マイケルジョーダンじゃないじゃん。いきなり何言うの。

これはなかなかの衝撃であった。人間やはり理解の範疇を超えたものをいきなり突きつけられると恐怖心を感じるのだな。とりあえずパッケージはそっ閉じしておいた。

今考えてみればパッケージ左側に貞子の名前、左側にマイケルジョーダンの名前があったという構図から、相合傘の派生バージョンととれなくもない。相合パッケージ。そう考えればもうこわくない。貞子とジョーダン、よろしくやってくれよ。

さんざんいじり倒してしまったけど、先述の通りこのビデオ、僕の持ち物ではないのだ。なんとなく誰のものかうっすら脳裏には人物が出てきているのだけど、仮にそのひとがこのエントリーを見ることがあったのならきちんとビデオをお返ししようかと考えておりますのでご連絡ください。あとあのパッケージの謎を教えてくれ。