普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

ふつうに騙されちゃった話

今週のお題「忘れたいこと」である。

忘れたいことは忘れないのに覚えていなければいけないことは忘却の彼方という困った脳内処理が行われるため、どうしたものかと考えてみたところ、ひとつ思い当たるものがあった。

結論から言ってしまうと30万円ほどもするけったくそ悪い空気清浄機を購入してしまったのである。

まだ20代も前半の頃、そのころ住んでいたマンションには勧誘だとか訪問販売とかそういったグレーよりはだいぶ黒に近い生業の方々が頻繁に訪れていた。

大概の無頼な訪問者はインターホンで門前払いか、ドアを開けても適当な理由をつけてお帰りいただいていたのだけど、ある日訪れたその男性は「玄関の空気の検査を行なっている者です。検査されませんか?」的なことを言ってきたのだったと思う。今であればなぜ素性も知れない人間に検査を依頼せねばならないのかと秒速で断るが、当時は僕も若かった。家の玄関がどんな状態になっているかがちょっと気になってしまったのである。玄関にその男性を入れてしまった。

訪問者を家に入れてしまったが最後。そこからは定番の流れである。適当な検査キット(たぶん偽物)でそれらしい動きをし、その結果を見せる。そこには尋常でないホコリなどが確認されるのだ。でもこれもたぶんそういうふうにしか表示されないようにできていたのだろうけど。そこでいうのだ、仰々しく。「このままではあなたの健康が危ないです!空気をきれいにする手段を講じた方がよろしいです!」と。

そして満を辞して取り出される空気清浄機。いろいろなセールストークが繰り出されていた方は思うが細かい内容については全然覚えていない。でも最終的に家に上がり込んで僕と一緒にタバコ吸ってましたからな、そのひと。

なんとなくそのときの僕の判断では悪いひとではないんではないかなというのと、空気清浄機、ちょっといいなと思ったこと、月々3,000円程度で使える、日割りでは100円程度だなどと、要は口車に乗せられてなんとなく買う流れになって断りきれないまま購入してしまったのだ。悪いひとだっつーの。ごりごりに他人を貶めて金儲けしようとしとるやんけ。と、やはり今なら思えるのだが、なにしろ若手バンドマンは食糧事情が良くない。賢さを育むまで栄養を回せてなかったのだろう。憐れである。

だいいち300,000円もするものを月々数千円づつ支払いしてくって何十ヵ月払っていたんだという話である。これ、値段がギターのアンプと一緒くらいですからな。まあ空気清浄機のほうが生活の役には立つわけだけれども。

こうしてマイルドめに騙されているようでガッツリいかれて自宅に高級空気清浄機が導入された。調べてないけど同じ型のものが一桁万円で売っていたっぽい。

結構忘れたいようなことでもネタにできてしまえばよいかなと忘れずに小出し小出しでこういったところで放出しているのだけど、今日の話だけはなんかこう、あんまり笑を誘えるような話でもないし、なんならちょっと引いちゃうひともいるんじゃないかなというレベルの話であると思う。そういった意味でもう忘れちゃいたいんです。ここに書いたことで念仏あげたのと同義ということで、もうなかったことにしていいですか。

肝心の空気清浄機は3回くらい使って音がうるさくて収納の奥に放り込んだままとなり、やっと日の目を見たその後の引っ越しの日、ゴミ捨て場に直行した。

さっきこの件についてネットで検索したら同じような事案は同じ時期に複数件発生していたらしい。その書き込みには社名も載っていて「そういえばそんな社名だった!」と忘れたい記憶なのに最初より情報量を増やす結果となってしまった。

なんかちょっと普段よりトーンも暗めな感じになっちゃったしら以前Twitterにもあげたことのある忘れたいという思いとは真逆のメッセージに咽び泣いていただきましょう。
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エモーショナル!というかもう叙情的!!

 

ではまた次回でーす。