普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

開かずの段ボールから衝撃の物品が

引っ越しに伴って発生する幾多の出来事のなかでも頭を悩ませる現象といえば開かずの段ボール問題である。

引っ越し準備で荷物を詰め込まれ、転居先に運ばれるものの、開梱の優先順位が低く、その段ボールは放置されたままとなる。そして気づけば部屋は快適に整備され、その段ボールに入っているものは日の目を見ずに収納の奥に押し込まれるのだ。

挙げ句、幾度かの引っ越しの際に開封されることなく転居先へと再び流れていく。なんなら箱の数がちょっと増えていったりする。

それ、絶対いらないやつだろ。箱ごとぶん投げ捨ててもよいのではと思われる方もおられることだろう。ええ、ええ、そうでしょうね。しかしながらそこをちゃんとできないのが開かずの段ボール生産者なのである。箱の中身がなんだかよくわからないまま2度、3度の引っ越しのお供となっていることなど当然のようにある。

僕の家にもそれは存在し、此度の引っ越しを共にした。しかし中身がまったくわかっていなかったというとそうではない。中身はわかっていながらもどうしてよいのかわからなかった…わけではないのだけど…まあ面倒だったのだ。

我が家の開かずの段ボールの中身はまあまあの数のVHSのビデオテープで、その大半が過去に活動していたバンドのライブ映像なのである。ほら、わかっていてもなんか捨てるって感じでもないでしょ?

とはいえねえ、ビデオテープってのはかさばるものでして。ついに重い腰をあげてどうにかしていこうと決意をするに至った。

手始めにアナログデータをデジタルデータにすべくなんかコネクタみたいなものを買って、段ボールからテープをひきずり出してはデジタル化を進めた。とは言ってるけどやってることはダビングだ。ビデオの録画時間内容分そのまま作業時間が発生する。なかなかにして途方もない。ちなみにビデオデッキはきちんと同じ箱に詰められていた。忘れてたけど、そのあたりしっかりしていてよかった。

ダビングしていて気づいたのだけど、僕はたぶん現役時代テープだけもらってきていたけど、チェックをしていなかったのだろうと思う。してたらもっと研究して改善してただろうし。すまんな、そのときのメンバーのみなさん。

こうして10数年の時を経て今さらのライブチェックをし、いくつかのライブ映像をダビングし、さてお次はと手に取ったビデオテープに衝撃を受けた。

f:id:takian2000:20211224182124j:image

ラベルに「2006 6.11 TaU kitchen scapegoat企画」とある。

なんとこれ、僕と妻が出会った日のライブ映像なのだ。このビデオに収められたライブの数時間後に初対面を果たしている。妻の感想は「こんなに小さな男のひと、いるんだ…」と、「聖飢魔IIを本気で好きなひとっているんだ」だったらしいので世の中第一印象だけではないのですよと世の中の諸兄方にはお伝えしておきたい。

こんなメモリアルな1本、夫婦でみるに決まっている。見た感想としてはまあなんというかみんな若いよねというところがまず出てくる。

この日はベースがメンバー加入して初のライブだったり、初めて披露する曲がそれまでやっていた曲と毛色の違う曲で緊張していたりとそんなことも思い出された。

そしてギターの相方はドレッド、僕はこの少し前スキンヘッドにしていて伸びかけの髪を金髪にしているというわけのわからない髪型をしていた。ひとに歴史ありである。

ステージを撮っているのでさすがに妻は映っていなかったけれど、僕らのステージは見ていてアニメの曲みたいだなと思ったらしい。タイアップ取りたかった。

このビデオに触発され、そのあと数本当時のライブ映像を見たが、まー、とにかく元気ですよねと他人事のように見てしまった。その中にハンディカメラでライブ、打ち上げ映像を撮影していたものがあり、しょうもない酔っ払いたちが中身のない話をしているという最高に愛おしい時間が収められていた。これは今度ぜひ関係者に見てほしいな。

画像のキャプチャでもしようかなと思ったりはしたのだけど、なんか照れくさいのでこれから先どう考えてもベストショットとしかいえないものが用意できたらご披露しようかと思います。

記録って大事なもんですな。