普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

引っ越しでまで老いを知る

明日はいよいよ引っ越しだ。懸念されていた荷物の箱詰め等、作業の進捗であるが、泣いちゃうほど出来てないことはないのだけど、楽観できるほど余裕もないといった具合に。今日は透析なので透析が終わったらもうひと仕事しなければ。

引っ越しとなるだろうなという話は夏前くらいから出ていたものの、具体的になったのが10月中旬ころ、そこから数週間で引っ越しまでの手続きを立て続けに行ったからなのか、いまいち感慨がわいてこない。そんなに長く住んでいないというのもひとつの原因ではあるかもしれない。とはいっても3年半くらいは住んでいるけれども。

それでも考えてみればその3年半のうち1年半くらいはコロナ禍ということであまり飲みにも行かず、ひとを家に招き入れることもはばかられ、挙句在宅勤務もかなりしていたため、家にいる時間の割合というのは他の家に住んでいたときよりもパーセンテージとしてはかなり高い。

なのになんでしょうな、イマイチこう思い出深い出来事ってそんなに多くない。家でのイベントというのが少なかったりしたからだろうか。端的に言って家での時間が平たい。前までの住居ではなんかあればすぐ鍋パとかそれに類する飲み会をやっていたからな。

今回の引っ越しは取り壊し由来によるもので自分の意志での転居でないことを考えるとあまり思い出が詰まっている家よりそれくらいのドライな感じで家を出るという方がちょうどよいという考え方もある。自分にとって都合の良い考え方をすることには定評のある僕がいうことなので、安いところてんを食べるときくらいの気持ちで聞いておいてほしい。

荷造りを行うなかでどうしても向き合わないといけないのがバンド活動をしていた時代の機材たちなのだけど、僕はそれらを捨てたり売ったりできるほど過去のものとして割り切れてはいないようだ。物としての価値はほぼ皆無であることはさすがに承知しているけれど。

その愛すべきガラクタの中にギターのアンプヘッドがある。koch(コッホ)というメーカーのアンプで、現役時代はライブのたびに運搬していた。

この「運搬」であるが、文字通り運んでいたのだ。手作業で。カートに乗せたりなんかして。今考えるとすごい根性である。25kgあるでかい箱を公共の交通機関や歩道を練り歩いて運んでいるのだから。そのうえギターやエフェクターも同時に持ち歩いて。

今なら考えられないが、当時は自分の納得いく音でライブがしたいということと、アンプをもってるとなんかハクがつくという誠実さと不誠実さ両面からの理由で頑張っていた。

そのアンプ。今般の引っ越しでよきところまで運ぼうと思ったところですよ…

 

持ち上がらなんだ…

 

由々しき事態である。あのころはいつでもコロコロと転がして打ち上げ後の酔った状態で早朝の電車に乗るために階段上げまでしていたのに、家の中の少しの距離を動かすのにひーひー言ってしまったのだ。父親の背中が小さく見えたというやつの逆バージョンだ。アンプ氏ずっと同じたたずまいだけど。

 

これは…

家だな。家のせいだな。家が悪い。あと風水とか。引っ越して正解だったというところに思わぬところで気付かされたよ。ありがとな、相棒。

引っ越し先では僕の腕の中でゆりかごで眠るように安らかなら気持ちで過ごしてくれ。

 

ショックすぎるのでひととおり家が悪いことにしたところで明日の引っ越しを無事済ませてこようかと思います。

よき門出でありますように。f:id:takian2000:20211117185250j:image

なんかよき門出っぽい写真。