普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

試乗しますか?の質問の意図

予告通り土曜日は教習所の入所受付に行ってきた。免許取得とは縁遠い人生だったため、いまだに自分がこの先車を運転するというイメージがわかない。稀代の小男がちょこんと座って運転するのだから見た目としてはおもしろいことになるのだろうけれども。

最初ということもあり、あれこれと説明を受けるも、授業の予約の入れ方や入所後の結構細かな所作の説明まであったので正直なところあまり理解していない部分がある。まあこういうのはそのときそのときでなんとかなっていくものだろうと前向きに考え、わかっている風の顔で話を聞いた。

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受付を済ませ、では次回と教習所を後にし駅に向かって歩いていたところ、後ろから僕のことを呼ぶ声が。

「お客さま〜 お客さま〜」

駆け寄ってきたのは先ほど受付をしてくれたひとであった。受付になにか不備があったかなと若干の気まずさを感じながら対応したところ

「あの、なんというか、入所前に車に試乗してみますか?」

と尋ねられる。そんなカーディーラーみたいな質問ある?と、いまひとつ言葉の意図をくみとれなかったため、それはいったいどういうことなんでしょう?と逆に質問してみたところ、なんとも気まずそうに

「お客様は身長…140センチありますか…?」

あ、そういうことね。規定の身長というものがあるのか。たしかに僕は成人男性としては規格外に小柄であるので受付のひとも判断に迷ったのだろう。話を聞くと受付しているときから聞くべきかどうかを迷っていたという。大丈夫だろうと受付を終えたものの万が一を考え追いかけてきて確認としたそうだ。

気苦労かけてしまってすまなんだ。しかしさすがの僕も140センチはあるのでご心配は無用だ。140センチなかったら免許とれないのかなと思って調べてみたらそうではないらしいけれども何かしら対処は必要なようだ。

僕の母は僕以上に小柄であるのにふつうに車を運転しているのでそこの部分全然考えもしなかった。確認してもらうにこしたことはないので結果的によかったけれども。

 

車の免許といえば高校卒業時に取得するというのが定番で、僕のように地方出身者はよりその傾向が強いのだけど、当時の僕は免許はいらんとさっさと上京してしまった。

当時、教習所が家の近所にあり、親が免許の費用を負担してくれると言っていたにもかかわらず教習所通わなかったのは、ド陰キャで友達のいなかった高校生活も影響していた。

春休みだし、同世代で免許をとりにきている連中もたくさんいるであろう。そこでぽつねんと孤独を味わうのは避けたいと考えたのだ。

今考えれば遊びに行くわけじゃないんだから免許取得に集中できていいじゃないと思えるが、言ってもまだ未成年。いろいろと自意識過剰なお年頃だったということである。

それに加え、僕は東京の交通網を過信していたフシがある。これに関しては上京するということに対してイキり気味なところがあったと思われる。

精力的にバンド活動をしていたころは親がお金出してくれるのになんで免許とらなかったんだろうと後悔したが、今にして思えば免許がなくてよかった。

今は自分という人間の迂闊さをよく理解しているので免許取得後、車の運転をする際には慎重すぎるほど慎重に運転するだろうけど、20代の頃だったらたぶん勢いだけで運転して「だろう運転」とかしまくっていたと思う。下手したら飲酒運転くらいしてたかもしれない。それを考えると今が頃合いだったのだ。何事にもベストなタイミングというものがある。

 

数ヶ月後、「運転席に誰もいない車が走っていた!」という噂が流れるかもしれないが安心してほしい。

それは怪奇現象ではなく、僕が運転する車で運転手が見えにくいだけだ。