この写真を見てなにを思うだろうか。焼き鳥の世界も競争率が高く、誰でも焼き鳥としてやっていけるほど甘くはないと感じたりするかもしれない。いや、それよりも「焼き鳥になりたかった」って、じゃあ今君なにやってるの?に行き着くだろう。
これは犬のおやつとのことだ。このあいだふと気が向いて入店したペットショップに陳列されていた。
見た瞬間、そうか、君は焼き鳥になりたかったのだなといちど言い分を受け止めてはみたものの、得心しがたいものがありパッケージを再度眺めてみた。
すると「夢を手にしたなんこつ君」「成功の秘訣はあきらめないこと」などと書いてあるではないか。なってるんじゃん、焼き鳥に。本人的には。でも本心では犬のおやつとしての擬似焼き鳥という立場に不満を感じているということか。だから訴えかけるようなフレーズとして「やきとりになりたかったなんこつ」という言い方をしているのだ。
本命に落ちて仕方なく仮面浪人をしているような状態と言えるだろう。こいつたぶん来年本物の焼き鳥デビューする気だぞ。油断してはいけない。
などと思ったかどうかはさておき、ペットショップの犬のおやつコーナーは本当にもう酒飲みのつまみコーナーと化していたのだった。
色合い以外はコンビニのおつまみコーナーと遜色ない品揃え。
砂肝だけでもバリエーション豊富。
このあたり、僕よりいいものを食べている。
猫のおやつもわりと数はあったのだけど、乾き物だったり肉まるだしなものはあまりなかった。犬の方がなんでもむさぼりつくから種類を豊富にできるのだろうか。確かに犬は与えれば与えるほどにがっつくイメージはある。そして食べ過ぎておなかいっぱい過ぎで吐いてしまうことなどもあってそこにぐっとくるものもあったりする。そんな食事だのおやつだのを与えすぎるようなこともそうあるものではないけれど。
僕が実家で犬と暮らしていた時、犬のおやつはこんなに種類豊富ではなく、ましてやおつまみ感などみじんも感じさせることのないものばかりだった。例えばみずあめが固まったような色合いのかっちかちのガムとかそんなものばかり。
技術が進歩してのあのラインナップということだろうか。正直、犬からすればなにを与えても最初は結構喜んでむさぼるのだろうから、飼い主への訴求力のためにあのようなことになっているのではないかと思うくらいだ。僕だったら犬にあげる前にちょっと食べちゃうかもしれない。つまみとして。
だってこんなものまであるんですよ。
これ、たぶんなにも知らされずにコンビニのつまみコーナーにしれっと並んでたらおつまみとして買っちゃうと思う。ふつうにお酒を飲みながら食べて結構うめえなあなんて思いながらそこそこ酒を飲んだあたりで気付くのだ。犬のおやつだと。
しかも馬と鹿…?馬鹿ってか。そうだな、気付かなかった自分が馬鹿だったよなと思うところまで想像できる。
陳列の段階で左読みで馬鹿とならないのがせめてもの気遣いか。
ただ、犬猫は腎臓がわりと弱目ということなので、人間のつまみみたいに塩分が過剰に使われてはいないというのが実際のところだろうと思う。犬用のお惣菜でハンバーグプレートなんかもあってそれなんてめちゃめちゃ白米が進みそうな見た目をしていたけどあれも食べられはするけど味気ないのだろうな。
ペットもいないのにペットショップに入ってあれやこれやとぐたぐだと言ってしまうという勝手にひとんちに上がり込んで風水に文句つけるみたいなマネをしてしまった。
ひとまず犬と暮らすというのは今後の人生の目標のひとつにしていこうと思う。