普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

マスクに付加価値を

マスクを日常的に着用するようになってもう半年以上。出社などしているときで言ったら1日の稼働時間の大半をマスク着用で過ごしていることになる。

せっかく長時間つけているのなら何か付加価値があったらよいのではないかと最近思うようになってきた。

例えばものすごく微量ずつ栄養が摂取できるマスクとか。この場合ビタミンなんかだともっともらしさがあるような気がする。

当然、着けているだけで元気になるマスクというふれ込みで売り出すだろう。もしかしたらもう少しおひれをつけて「しているだけで健康になるマスク!」くらい言ってしまうかもしれない。

めちゃくちゃうさんくさいな。

結構本気で付加価値としてはよいものなのではと考えたけどこうもインチキくささがでるものか。匂いとかつけるのは技術としては簡単なのだろうけど、一日中一定の匂いとか嗅ぎたくないものな。

他に付加価値といえばなんだろう。何もしないでも手に入ったら嬉しいと思うものが需要の対象となるだろうから、そこから考えると金、権力、異性、筋肉(スタイル)などだろうか。

・つけてるだけでお金が貯まるマスク

・つけているだけで皆がひれ伏すマスク

・つけているだけでモテまくるマスク

・つけているだけで筋骨隆々となるマスク

これはすごい。昔の雑誌の裏表紙にのってるやつだ。札束風呂にはいって両腕で女性と肩組んでるあれ。思春期ボーイと鬱屈とした人生を送っているタイプしか食いつかないあれでしかない。

人間の欲望が簡単に手に入るというようなものの売り方をすると雑誌の裏表紙的になるというのはひとつの気づきではあった。

いや、こういうことではないのだ。マスクの付加価値だ。もっと堅実で実用性のあるところで勝負していきたい。

電気マスクとかどうだろう。低周波の刺激を与え続けて小顔効果を促進させるのだ。つけっぱなしということを前提した超微弱電流から顔が引きつるほど高圧電流をながせるようにしておいて、いざというときの防犯グッズとしてもうってつけだ。

しかしこれもあれだな、深夜の通販っぽさがあるというか…有体にいってしまうとうさんくさい。やはりうさんくささにたどり着いてしまう。マスクがどうとか付加価値がどうとかではなくこれはもしかして僕自身がうさんくさい人間だからうさんくしい案しか出てこないということだろうか。認めたくはないがあり得る。

もっとまともにひとの事を思いやり、考えられるひとが考え出すものであれば本当にマスクをつけっぱなしな昨今に役立つ付加価値というものが発案されるのかもしれないな。

僕なんかもう最終的に食べられるマスクとか本末転倒なことしか思いつかない。世界の優しく賢いひとに期待だ。

あれこれとは言ってみたものの、いちばん最良の着地点はマスクを常に着用している必要のない環境がふたたび訪れることなのだけれども。

なんとなく今のこの環境、幼い頃に見たバーバパパの絵本の物語を連想させる。

その物語の中では発展した文明により深刻な大気汚染が起きており、人類は外に出るときにはガスマスクをしないと外出すらままならない。あんまりにもひどいから人間なんて捨ておいて動物のつがいを乗せて宇宙行ったるかーとバーバパパがロケットに変身するのである。なんやかんやあって結局空気は浄化されて地球で全生物が平穏な生活をするというラストだったと思うのだけど、なんやかんやの部分をさっぱり覚えてない。とにかくディストピア感がすごい。

今の世の中もディストピアっぽさで言ったらひけをとらないものはあると思うのだ。

物語の中の「なんやかんや」の部分がなにになるのかはわからないけれど。