普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

それが仕事ってもんだよおじさん

今日は出社をしていたので昼食はココイチとし、いつものようにカウンターに座りスモールフライドチキンカレーを食べていた。

小さいサイズを頼んでいるにも関わらずどうにも食べ進まず、どうしたものかとゆっくり食べ進めていると、カウンター席の後ろ側のボックス席から中男男性の話し声が。

電話で大声で話している。待ち合わせをしているようだった。声が大きいし、あまり丁寧な印象は受けない。店員さんに対しても同様な態度であった。端的に言うと横柄。

ちなみに着信音はGalaxyデフォルトのあの未来感を感じさせるんだかそうでないんだかというあの曲だった。なんとなくその時点で「おや?」と感じさせるものはある。

僕のカレーは減らないまま。そうこうしているうちに男性の待ち合わせ相手が現れたようで、その会話も聞こえてきた。なんせ僕の真後ろなので。

到着した男性もまた中年男性のようだった。会話の内容から先に到着していた中年男性はおそらく中小企業の社長で、あとからきた男性は社長と取引をしようと商談をするつもりであるような雰囲気だった。

しかし、ココイチでの待ち合わせの時間におくれてきて、しかも連絡もいれてなかったことに社長はいたくご立腹である。それはまあそうだよなと納得である。商談しようとしてんのに無断で遅刻とかしちゃだめですわな。

ただこの社長、なんというかものの言い方がいちいち横柄なので周りに聞こえる音量で喋っているとなかなかにして心をざわつかせるものがある。

「これからうちと商売しようっていうんだからさあ、連絡くらい入れてくれないと。それが仕事ってもんだよ?」

ここでうわーと思ってしまった。言っていること自体が間違っているかと言うとそうでもないのかもしれないけれど、明らかに不機嫌な社長のトーンと「それが仕事ってもんだよ?」がブレンドされてめちゃめちゃ説得力にかける「仕事ってもんだよ?」になっているのだ。

仕事云々とかよりも個人的に不快に思った感情に正当性をもたせるように見せかけるために仕事としての話に結びつけているように感じたのだ。というかあの感じはたぶんそうだろう。

しかも僕が店内にいる間に5回くらいは言ってた。それさっきもう聞いたよ、と店員含めみんなが心の中でうんざりしていたであろうと思う。

それに加え、伝説でしかないと思っていた「おれは客なんだからね?」も炸裂していた。

ああ、これか。これなのか。世の中に煙たがられる中高年というのは。成り上がりの中小企業社長に多いという印象ではいたが、この社長はまさにそのような雰囲気だ。まさかリアルタイムでそれを見聞きする日が訪れるとは。しかもココイチで。

苦手だなあと思ってもつい聞き耳をたててしまっていたわけだけれど、仕事ってものを語るおじさん相手に取引先のひとはずっと「いや、電話はしようと思ったんですよ」と言い訳をしていたりしていたのでこのひとも大概だな。

僕の少ない経験では叱責するときにこれが仕事ってもんだよといちいち言ってくるひとに仕事ができているひとがいたためしがない。そして大体人望はない。あくまでも叱責との掛け合わせでこの言葉を繰り出してくるひと、ということで。

今までぼんやり苦手だなあと思っていた人物像が本日のランチタイムをもってキリッとさせることができたのであった。

 

ここでお知らせですがカレーは無事食べ切りました。よかった。

 

ちなみにこのココイチ自己啓発でもやってんのかってくらいにやたらポジティブな接客なのだ。なんかもうこわい。実害はないのでしょっちゅう行っているのだけど。ひとが入れ替わってもマインドは皆一緒なのがまたこわい。

 

それでもまた食べにいくし、そのときにはそれが仕事ってもんおじさんもいるといいなとほんのちょっと思っている。