普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

とりあえずやってから考える

祖父は理容室を営んでいた。都合何年間営業したのかはよく知らないが、亡くなる直前、体調を崩すまでお店は営業していた。

もう話をきくことも出来ないので真実を知る由もないけれど、たぶん何か志があってお店をやっていたという感じでもなかったのではないかと勝手に思っている。

昔のひとの商売ってわりとそういうの多そうだ。生きるために何かしらの業種を選びお店を立ち上げる。今みたいに起業に必要な手続きも多くなかったのだろう。調べてないから知らないけれど。

その祖父の理容室だが、祖母も従業員として働いていた。資格はもちろんとって。でもなんだかその資格も今と比べて「おくれよ」といって、しょうがねえなあくらいの温度感で与えられていそうだ。しっかり頑張って取得してたらめちゃめちゃ失礼な話だけど。

聞いた話によると祖父は県の理美容協会のお偉いさんに顔がきいたらしいので、そんなエピソードも祖母の資格取得の一助になっていたのでは、と訝しむ気持ちを心にもたせた一因だ。

祖父のお店の話だけではないけれど、地域に同業がなかったらとりあえずお店開いちゃうみたいな気軽さでお店を開いているようにすら感じる。そんな中でも布団屋ってまたそこいきますか、という業態である。布団てそんなしょっちゅう買い替えるようなものでもないし、メンテもそこまで頻繁にしているようなものでもないと勝手に思っているのだけど、今と昔じゃ布団の質が違ってまた事情が違うものなのだろうか。

仮に商売がうまくいかなかったとしてもそのときのリスクというのも現在より軽かったのだろうか。結構いろんな商売に手を出しているひとの話というのを聞くことがある。

そういう時代なら僕もなにかしら商売やっているのかもしれない。

自分の住環境付近でなにがたりないのかを考えてみたところ、それはバーガーキングであるという結論に達した。

なにはなくともバーガーキング。なにせバーガーの王だ。民には王が必要であろう。バーガーキングをオープンして、地域一帯にバーガーキングダムを建国するのだ。

 

なんでもやっちゃう昔のなかでも結構驚いたのが母方の曽祖父旅芸人だったそうである。曽祖父がどんな内容の芸で旅をしていたのかはわからなかったのだけれど、そういう根無草感と芸事で食っていくというその感じ、隔世遺伝でもしてるのかなと思った次第だ。

サラリーマンなんてやってる場合ではないかもしれない。ハンバーガー芸を極め、全国に、ひいては全世界にバーガーキングダムを広めていくべきなのでは。

 

などと商売やりたいとふと思うこともあるにはあるけれど、結局サラリーマンという生業は楽な方の生き方なのだろうと思う。

ずっとサラリーマンだけを仕事としているひとにはなかなか気付きにくいことなのかもしれないが、最近の会社の先輩の中年の危機みたいな状況を目の当たりにしてそう感じるのだった。

 

変わるもんですな、ひとというのは。