普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

気質の問題ですか

10代の頃から音楽に魅了され、14歳でギターを初めてから30代半ばまで、バンドをやっていた頃は結構いろいろな音楽を聴いてきた方ではあると思う。とはいえ、ギターをやっていたという立場上、ギターが目立つジャンルを好んで聞いていた傾向にはあった。

特にメタルに関しては最も深掘りしたジャンルだ。

プレイスタイルにも多大な影響を受けたという自覚もある。

 

そのメタルだが、メタルと一言でいっても色々種類がある。いわゆるサブジャンルとでもいうのだろうか。

メロディックスピードメタル、シンフォニックメタル、ブラックメタルデスメタル等々。しかもデスメタルのなかでもブルータルデスメタルメロディックデスメタルといったもう一階層深いカテゴリーがあるのでややこしい。

メロディックスピードメタルというのは読んで字の如く、ボーカルがメロディアスなメロディを歌い、曲のスピードが早いものをさす。

デスメタルというのはボーカルがデスボイス(叫んだりがなったり唸ったりするボーカルスタイル)で歌うスタイルのメタルのことをいうのだけど、じゃあメロディックデスメタル(メロデス)って何がメロディックなんだい、となるだろう、たぶん。

ギターがメロディックなのだ。わかりにくいなあ、もう。

 

そういったただでさえメタルというだけで敬遠されそうなところの、さらにマニア受けする部分を好んでいた。

ギターが格好いいのは確かにあったのだけど、周りと音楽の趣味が違うという自分の立ち位置も多かれ少なかれ意識はしていたと思う。

 

上記で述べたように、メタルはギターが格好いい。そして早弾きなどのソロテクニック以外、いわゆるリフと言われる部分は派手だけど結構簡単なものが多く、ハッタリがきくのだ。

そんなところもメタルの魅力だ。

 

メタルバンドはガツンと売れているバンドは多くはないが、コアなファンが一定数ついて、なかなか離れにくい傾向にあるので、活動歴の長いバンドは多い。

そうなると、活動の中でそのスタンスというものもバンドによって異なる。

アルバムを何枚も出しているのにどのアルバムを聞いても音質の違い以外違いがよくわからない金太郎飴のようなバンドがいる。

よく言えば安心感はある。しかしマンネリ化していると言えばそれもその通りだ。

ここで出てくるのがメタルファンの心理である。

メタルファン及びメタルプレイヤーはわりと保守的なものを好むのだ。プレイヤーも元々メタルファンである場合がほとんどであろうから当然似た思考にはなるということだろう。

その保守的なメタルファンからするとそのマンネリ化こそがそのバンドの色であり、欲しているものなのである。

たまーにそういうバンドが新たなチャレンジを試みると、叩かれたりする。

今までと同じではないからという理由で。

そこまでいうひとはもしかしたら一部なのかもしれないけれど、確実にいる層である。

そういうときCDの帯には「問題作」という肯定なんだか否定なんだかわからない言葉が使われていることが多い。

 

逆に、ちょこちょこと方向性を変えながら活動しているメタルバンドもまた存在する。

その時代の音楽シーンのニーズに合ったものを自分達の音楽スタイルと融合させながら音源をリリースするのだ。

個人的にはこちらのスタイルのバンドの方がハマりやすい。

こちらのタイプのバンドで気を付けたいのはアルバムごとに違った雰囲気だったりするものだから、そのとき手に取ったアルバムの良し悪しでバンドのイメージが大幅に変わることだ。

言ってしまえば「あのアルバムはいいけど、このアルバムはよくない」があるわけである。当たりはずれとでも言おうか。

ただ、初めてそのバンドにふれたひとからすればそのアルバムが全てだ。

自分的には結構ありなんじゃないかな、と思っていても世間的にはなしであったりすることもある。

個人的にそういうCDをよく手にしていた。

なにせ中古CDを買うものだから、いわゆる「問題作」が中古市場にでまわるのだろう。

 

そのバンドらしさなどは知らない状態で純粋に曲単位で聞いていたので、個人的にはあり、となったということだ。

そのバンドを前から知っているひとからすればいわゆる「らしさ」のないものとなっていると感じたのかもしれない。

それでも良いものは良いと思うのだけど、そのあたりのさじ加減がいまだによくわからない。

 

バンド活動が一番活動的だった20代半ばの頃、上記のような傾向のあるメタル界隈がひどく閉鎖的な気がして一時期メタルと距離をおいたりしていた時期もあった。

ハードコアに憧れてそちら界隈に流れていくのだけど、結局ハードコア界隈もそんなにメタルと変わりはなく、閉鎖的な部分はあった。

結局ジャンルとかそういったものではなく、気の合うクオリティの高いバンドと自分達が心地よいと思える空間を求めるようになっていったのだった。

この話はながいのでまた今度にでも。

 

メタルの話を延々としていたけれど、結局ひととひとが関わっていく上でもマンネリ化、新しいものを取り入れられるかどうかなんていうものは一緒なのかもしれない。

 

メタルを通して人生を学んだ。

そういうことにしておいてください。