普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

ギターソロ需要はどうも低いらしいけど、確かな需要はあるんだよ

話題としては少し遅いのだけど、最近楽曲のギターソロが不人気らしい。特にサブスクを好んで利用する若い世代にその傾向が多いと聞く。

そりゃまあ楽器に大して興味もなくて、楽曲を聴くときは「歌」を聞いているという意識のひとからしてみたらイントロ、間奏等は刺し盛りのツマ、いやなんかあの赤い海藻とかくらいにしか思えないのかもしれない。おれは刺身(歌)を食っているんだ。添え物など頼んだ覚えはないと。

でもね、考えてもみてくださいな。お刺身の舟盛りに添え物なしにお刺身だけを隙間なく盛られてたらシズル感もなにもあったものじゃないじゃないの。ツマで高さを出したりして、そこにお刺身をファサっと飾る。そうすることによって食欲をそそる華やかさというものもでるものだ。

イントロとかギターソロも楽曲によってはそういう役割を果たしていると思うのだ。ゴリゴリに自己主張するギターソロもある、というか僕が好んで聴くジャンル(メタルとか)においては主に自己主張の場であったりして、お刺身の土台かと思ったら土台にヒレステーキ使っちゃってました的なことも往々にしてあるのだけど、それもまた味というものである。お刺身とヒレステーキを同時に食べられて一挙両得、すたみな太郎的楽曲である。こうなるとアウトロは自分で作るソフトクリームとかだな。メタルではないと言われてしまいそうだがderringer escape planなどは悪ふざけと思われても仕方ないほどになんかいろいろ弾く。食べたらおなかこわす。

メタルに関しては楽曲界のスタミナ太郎だが、大概の音楽はそれよりも繊細に作られている。そのぶん繊細なギターソロを聞かせてくれる。そういう上品な刺し盛りをお伝えできたらと思っていたのだけど、残念だけど手持ちの弾がない。たしかスピッツとかよかったんじゃないかなあ…(遠い目)くらいが精一杯であるところに申し訳なさしかないが見捨てないでやってください。

あれこれ言ってはみたものの、結局ギターソロの是非は言っても好みの問題だ。飛ばしたければ飛ばせば良い。でもそうするとほんの少し寂しがるおじさんが発生するのだということを心の片隅においていただきたい所存。

ここまで言っているんだからオススメのギターソロはないのかという話になろうものだろう。あります。ありますとも。いつも心の中で響き続ける格調高き調べが。

なんか本気すぎて恥ずかしいのだけど…

聖飢魔II:蝋人形の館

こちらをご紹介したい。この曲のギターソロが本当に好きで、折に触れては聞いているし、当然自分でもギターでコピーし弾きまくった。本当は動画を貼るところだと思うのだけど権利とかそういう大人なアレもあると思うので各自検索して堪能されたし。ほんと情緒でしかないので。

聖飢魔IIといえば見た目やボーカルのデーモン小暮閣下のキャラが立っているためおふざけ要素の強いバンドと思われがちだが、その楽曲は粒ぞろいである。その中でもギターのエース清水長官作曲の楽曲、そしてその曲中で繰り広げられるギターソロは無類の一言。(蝋人形の館の作曲はダミアン浜田氏だけど)

エース長官は音楽理論に長けており、作曲される曲には音楽理論に裏付けられた美しさが散りばめられている。そしてギターソロもそれは同様であり、聞くところによると譜面におこしながらギターソロを構築していくというのだ。旋律を譜面に起こすったらあれですよあなた、マエストロですよ。巨匠。エース長官のソロは曲中にさらに凝縮された一曲が詰め込まれているのと同義なのである。美しく叙情的な旋律はもちろん、ときには転調などでドラマティックに展開されるそのソロに高校生の頃は心底憧れた。イカれちまったんだよぉ。

ギターソロは楽曲の添え物、大根のツマであると喩えたが、そこでいえばエース長官のギターソロは京野菜の大根のツマだ。聖護院大根で作られたツマだ。この大根がツマに向いているかは知らないがなんか良さそうで品がありそうな大根なので特別なんだよってことである。雰囲気でもの言ってしまってすまねえ。

エース長官のソロは超絶技巧とか早弾きとかとは無縁なのだけど、それを補って余りあるほどの良さがある。なんなら憧れすぎて僕がバンド活動していた時代、無意識でいちフレーズを拝借してしまっていたらしく、しかもそれが発覚したのがその曲をレコーディングした帰りの車だったことがあってめちゃくちゃ変な汗かいた。

今はギターソロ好き、ひいてはギタリストにとって良い時代とは言い難いのかもしれないけど、確実にまたギターに日の目があたるときはくるだろう。時代って巡ってくるものですからな。そうじゃなきゃ昨今の若い女子のファッションとかあんな感じにならんもんな。

なんかどうでもいいことぼやきはじめてしまったのでそろそろ締めようかと思います。蝋人形の館の写真とか流石にないし、蝋人形の写真もないのでこの間見かけたすしざんまいのあのひとの写真がなんかそれっぽいからそれでいいすか。

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すしざんまいの寿司屋