今週末は透析を土曜にしてもらい、金曜に飲み会へと出掛けていた。6月で退職し地元へ戻っていた方が帰京されるとのことでその飲みに誘ってもらったのだ。
その方はシニア派遣で働いていた方で、よくつるんでいる定年派遣おじさんと仲良しでもある。聞けばこの9月に古希を迎えたそうであるが、ダンディズムに溢れた素敵な歳の取り方をしている。やっぱ人間年齢ってことではなく心意気で生きていくべきなのかもしれない。心がおじいちゃんになるから見た目にもそれが出てしまうのだろう。
そういったきちんとした方と飲むので安居酒屋で飲むというわけにもいかない。ダンディさんを送り出したときと同じ高級焼肉に行くこととした。焼肉が食べたい頃合いだったので渡りに船としか言いようがない。
が、なにぶん一緒に行ったメンツはわりと大人…というか…有体に言ってしまうとシニア側のメンツだったので、良いお肉の脂とて脂でしかなくカルビなどの獰猛な脂に対しては全員ひるんでいた。ってこれ前にも書いたな。
脂に関してはうまいこと回避しつつ焼肉を楽しんだのだが、この日は9月末(上期末)、金曜日、世間でいう給料日後等の混雑しそうな要因が全て重なってしまったこともあり、入店したときから「2時間制でお願いしますね、このあとも予約が入ってしまっているので」と店員さんに釘を刺された。
まあそれは仕方なかろうと宴を楽しんでいたのだけど、開始から1時間20分後くらいに「フード、ドリンクともにラストオーダーとなります」と言われたときの定年派遣おじさん、めちゃくちゃ不機嫌になってしまったのだ。気持ちはわかるのだけど。たぶんいうこと聞いてくれないお客さんがいて、あとの予約のお客さんに迷惑がかかってしまうのを防ぐために早めのラストオーダーなのだろうけど、それにしても早いだろうと思う。
僕らは比較的いうことを聞いてきちんと動こうとしていただけに、おじさんは余計にその対策が気に入らなかったと見え、終わり際ちょっとくってかかってたもんな。そんな中でもダンディさんは落ち着いていた。タイプが違う二人のシニアさんたちの対比がおもしろい。
焼肉屋を退店後、さてどうしたものかと夜の街を彷徨うも、前述の通りコロナなどどこへやらと街は熱気に溢れており、なかなか空席のある店が見つからなかった。
ほとほと困り果てていたところにダンディさんからの提案が。
「おれの知り合いがやっている店があるけど聞いてみようか」
え、そんなんありなんすかと即座に乗っかることにした。焼肉屋を出てすぐということでもなく、困ったなあくらいのタイミングで提案してくれるのがなんとも絶妙である。さすがとしか言いようがない。
確認をとってもらったところ、席を融通してもらえるとのことで訪れたお店はほぼ料亭みたいなお店で普段の飲みの場としては絶対にチョイスするようなことがないお店でひるみまくってしまった。
このお店はどうやらお豆腐をメインとしているお店とのことで、ガッツリ焼肉の前半戦からのお豆腐という見事な連携プレイを成し得たのであった。
とはいえ、お豆腐でさっぱりとはいえ、意外としっかりお腹にたまるのがお豆腐である。前半戦ではしゃぎすぎた中年以降の胃袋にはなかなかダイレクト豆腐はつらいものがある。そこで目を皿にしてメニューをくまなく見渡したところ、”引き上げ湯葉”なるものを発見。店員さんに聞いたところ、席で豆乳を炊いて湯葉をこさえてその場で食すものだという。エンタメ性があって楽しそうだけど優しいなんて最高じゃないか。これだ、今のお腹にはこれしかないと喜びいさんでオーダーした。
そうして用意された豆乳を卓上ヒーターの上にオン。
これを温めているうちに
こうして出来立ての湯葉を出汁ポン酢のようなものでいただくというのが”引き上げ湯葉”である。これはよかった。焼酎がいくらでも進む。この後帰宅という萎えイベントが待っていたので飲み過ぎには注意したが、家でこれをやったら寝る直前まで飲みながら湯葉を引き上げまくっていたことだろうと思う。なんなら掛け布団を湯葉で作り上げるくらいのことはするだろう。いうまでもなく優しくうまい。
この他にも重くなく優しくおいしいものを何品かいただき大人の宴として時は過ぎていった。焼肉もよかったけど最初からこちらでもよかったくらいだな。焼肉屋は少々騒がしかったのに比べ、こちらは個室で静かに飲めたので。
結論、同じ日にどちらもいけたのはよかったのだけど。思えばどちらも卓上調理しているのに出来上がりが対極であるというのもこの日の醍醐味だったかな。こういう日はなかなかないだろう。よき日を過ごせたということで下期の糧としていこうとかそれっぽいこといって本日はおひらきでございます。