思いがけない出会いというものはひとの心を揺さぶるものである。
昨日の出社時のお昼ご飯、いつものお店でいつものラーメンを食べようと目的のお店に向かっていると、そのお店の少し手前で「ラーメン」と書かれたのぼりがはためていることに気づいた。
ん?行きたいラーメン屋はもう少し先なのに、のぼりの位置がずいぶん前すぎやしないかとのぼりをよく観察してみると、のぼりの傍には「こちら→」と矢印の書かれた看板が。矢印が指す方向は狭い路地である。通りに抜けるのにすら使ったことない狭い路地。まさかこんなところにラーメン屋が…?
ってあったーー!!

まさかこんなところにラーメン屋たあったとは。もうこの界隈で数年働いているけど初めて知った。というか難易度高すぎるたたずまいをしている。店内がほぼ見えない。
得られる情報としては以下の看板と「味自慢」であることのみ。

どのラーメンもめちゃくちゃ安い。しょうゆラーメンに至ってはほぼワンコインである。ラーメン1,000円の壁とか言われているこの時代にバグっているとしか思えない値段設定だ。
最近、やたらと安価なものを見かけると「安い!」という喜びよりも「大丈夫なんか…これ…?」と不安な気持ちが先立つことが多い。このラインナップはその類である。
これは迷う。入店にはかなり胆力が必要だ。でもたぶん、今行かなかったら冷静になってしまうのでやっぱりディスカバリーのきらめきを失わないうちに勢いで入ってしまおう。立て付けの悪い引き戸がさらなる緊張感を煽ったがなんとか入店した。
狭い。ラーメン屋なんてそんな広いものじゃないけど、これまで行ったどのラーメン屋よりも狭い。入り口側が開いたコの字型のカウンターになっており、席数は6席ほど。何より、この空間は今でも昭和が続いている。そんな空間だ。昭和100年って感じ。狭い路地のこのお店って本当に異世界に迷い込んだんじゃないかくらいの戸惑いを覚える。
しかし、入店してしまえばもうあとはラーメンを食べるだけだ。店前の看板にもあったとんこつラーメンをオーダーした。待つこと数分、着丼。

見た目は博多豚骨という感じ。しかし食べてみるととんこつの特徴はほぼない。まあ店内にとんこつの臭いとかしていないし、お店で炊いているとかではないのだろうなと推測。なんというか、今ほど世にとんこつが周知されていなかった頃の良くも悪くもそこまでキャラの濃くないタイプのとんこつである。
そして、なんと言っても食べた一口目に思ったことがある。
「これは…昔のサービスエリアのラーメンの味だ…!!」
と。
そう、あの感じ。今やサービスエリアのフードコートはいろんな有名チェーン店が入っていて、どこであってもそれなりのクオリティのものが提供されるけど、このラーメンはそうなる前の時代のものであった。やっぱり昭和なんだよ、この空間。
念の為言っておくと、サービスエリアのラーメンが悪いと言っているわけではない。むしろ、今の世の中これ系のラーメンを食べられることの貴重さすら感じるほどである。
感想としては(価格的に)過度に期待していたわけでもないので裏切られたという気持ちもないが、昭和のサービスエリアとの邂逅があったというまさにディスカバリーの結果となった。
冒頭の通り、思わぬ出会いで心が揺さぶられたお昼ご飯で最高だったな。僕はこのお店で食事をしたのではなく、発見と出会いという経験を購入したと言っても過言ではない。いや過言ですけど。でもここ最近では群を抜いて印象的だったお昼ご飯には違いないっす。