普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

学生のときにSpotifyに出会っていたら時間を無限に溶かしていただろう

今さらながらSpotifyの存在に驚愕している。知っているアーティストを検索してお手軽に音楽を楽しめるくらいの感覚で使っていたが、真の醍醐味はプレイリストなどでまったく知らない音楽にいくらでも出会えることであることに気づいた。これ、学生時代にあったらいくらでも時間を溶かしていたところだったと思う。

今聴いているプレイリストが"Sad Hardcore"というプレイリストなのだけど、その名の通り悲しげでエモエモした楽曲が500曲以上まとめられている。そんなに悲しみを放出されたら一生笑えなくなっちゃうんじゃないかってくらいにsadな曲のオンパレードだ。作ったひと本当にすごい。悲しい曲の知識量が尋常ではない。悲しみの深淵の存在に違いない。

この哀しみを喰らえ 俺と共に

中にはイタリア等の英語圏以外のバンドも含まれており、自分の興味と行動力だけでそれらのバンドに出会うことは絶対になかっただろうと思う。かっこいいかっていうとそのあたり微妙なんですけど。いやまあ好みですからな、こういうのは。イタリアのエモいハードコアのトレンドというものがたぶんあって、今の僕の趣味とは異なるというだけだろう。

個人的には良さしかないSpotifyだけれども、川本真琴Spotifyを心底憎んでいるのだそうだ。楽曲を発表している当事者の側だとまた気持ちや意見も変わってはくるだろうけど、僕が知らないバンドを知ることが出来たように川本真琴を知らないひとが偶然川本真琴を聞くことになることだってあるのだろうからそう考えれば悪くもないのではと思ってしまう。

ただ、再生に対する収益というのはだいぶ低いという話を聞いた。だいたい1再生につき0.3円だそうで、他の音楽系のサブスクの中でも低めの設定である。利用者数でいったら断トツではあると思うのでそちらに期待するしかない。

とはいえ、100万回再生されて30万円程度の収益であると考えると結構キツめである。一応僕も音楽活動をしていた身として、100万回再生の壁の高さは容易に想像することはできる。そんなに再生されて中堅サラリーマンの月収程度。しかも月収ということではなく累計だ。これでバンドだったら人数分目減りする。事務所の取り分だってあるし、手元に渡るのは雀の涙かもしれない。趣味ならともかく本業でこれでは川本真琴が愚痴っちゃう気持ちもわかる気がしてきた。

僕が知らないだけでもしかしたらもっと収益につながるシステムがあるのかもしれないのであくまでも今さらサブスクに感動しているおじさんの独り言程度に読み流してくだされば幸いです。

夢のない話になってしまうけど、楽曲そのもので儲ける時代ではなくなってしまったのかもしれない。要は商売の仕方が変わってきたということで、それに敏感に反応していかなければいけないのだろうな。僕はただでさえ金勘定が苦手なタイプなので今の時代音楽で稼ぐとか絶対に無理そうだ。

一方でザ・資本主義だなと感じたのがL'Arc〜en〜Ciel等の大物だ。アーティストトップに再生数ベスト5が出ており、そこだけで合計5000万再生以上。ため息でちゃうよね。

ちなみにデビューの頃の「Tierra」を聞こうと思ってたどり着いたのだけど、アルバム全体で1000万再生を超えていた。もう30年くらい前の音源でそれだけ再生されていて利益を出しているというのがえぐい。思わず川本真琴の再生数見に行ってしまったよ。リアルエモみ。

悲しいことばかり言ってしまうのもSad Hardcoreのプレイリストのせいかもしれない。ずっと悲しい曲聴きっぱなしだからな。もうせっかくなのでこの悲しみをあなたに。

ちなみにまだ全部聴いてないけどForecast、Counterparts、Mayfieldあたりが涙腺をぐいぐい刺激してきて非常にsadだった。たぶん前半あたりにいます。

いつまでたってもこういうの好きなんよな。もう一生こういう音楽好きなんだろうな。みなさまにおかれましてもプレイリストからお気に入りの悲しみを見つけていただけますよう祈念いたします。つってな。