普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

オールドメディアによる味わい深さ

僕も妻も音楽好きとして1990年代を生きてきた。そんな人間の手元に必ずと言って良いほどあったものがこれだ。

f:id:takian2000:20211124173723j:image

一応説明すると、「ラジカセ」である。

ラジオカセットレコーダーの略で文字通りラジオが聞けて、カセットが再生、録音できる。写真のものはCD、MD×2にも対応しているという90年代のティーン垂涎のスペックとなる一品だ。

が、今となっては骨董品でしかない。それどころか若い世代からしてみたらカセットだのMDだのは前時代の遺物でしかなく、下手したら存在すら知らないというひともいるかもしれない。もはやCDすらそれにあたるかもしれないというのがおそろしい。一部でカセットなどはレトロメディアとして注目を集めていたりもするという話も聞くが、「逆に」の話であって、ふだんはサブスクなどを利用するのだろう。

なんですけれどもね、僕は真正面からそれらのメディアを使い倒していたわけで、好きな音楽や自分で作った曲を録音していたのだ。

今回引っ越すにあたり荷物を整理していたところ、出るわ出るわ、昔録音していたカセットやらMDやらが。

好きなアーティストが録音されたものはその後PCに音源を取り込んだりしているので取り立てて話題にあげるようなものでもないのだけど、自作の曲たちを録音したものに関しては素通りできなかった。

まあ基本的に未熟であることは否めない。否めはしないのだけど、熱量があったり楽しそうな雰囲気があったりで聞いているうちにどんどん遠い目になってしまった。あの感じ、今はちょっとだせないな、たぶん。

しかもギタリストとしての野心をまだ持っていたと見えてギターソロなどをぶちかましており、そのうえ速弾きなどを繰り出してくる始末。お盛んである。

ちなみに上京してはじめて作曲した曲が録音されていたが、ほぼANGRAメロスピ)であった。心に澱みが少ないことがうかがえる。

それらの自作の曲というのもなかなか味わい深いものがあったが、それよりもさらに味濃い系の案件も発掘された。

バンドのスタジオ音源である。

しかも完成した曲を録音したものではなく、作曲している最中のアイディア出しをたれながしで録音したようなものもあって、完成バージョンとまったく違うアレンジが試されていたりしてとても新鮮なであった。自分のことなのにやたら新鮮に感じたのはその当時のことをまったく覚えたなかったからなんですけどね。ところてん脳だなあ。

その他、ライブ録音の音源もあり、少し聴いてみたところたぶんライブ中に僕が弦を切ってしまってボーカルが必死でMCで繋いでくれてるところがちょうど再生された。いやー、その節はメンテ不足でご迷惑ををおかけいたしやした。

これらはMDの話であり、もしかしたらぎりぎり家庭内に再生媒体があるというお宅もあるかもしれないが、カセットテープはどうだろう。これもまだ再生できるのはちょっとすごいことなんじゃないかと思う。

そう思い何本かカセットを何本か再生してみたが、A面、B面があるという作法をすっかり忘れていて、そのうえカセットのどの面のどのあたりが再生されているのか全くわからずそんな自分に驚愕した。頭出しこそあるものの、実際の再生時間よりちょい早い早送り、巻き戻しで対応していたのも気の長い話であったなと感心する。そもそもあれ、どんな感じで聞いてたんだっけな、わかるひといたら教えてください。

カセットテープのほうは高校時代にマルチトラックレコーダー(テープ式)で撮った当時好きだったバンドのギターコピーが録ってあったりするので発掘しぜひきいてみたいが未だ未発掘だ。

冒頭のラジカセ、10年以上も家の片隅で眠っていたものを今回の引っ越しにより日の目を見ることとなった。各種メディアを再生できるというのはノスタルジーを感じるためにもよいのだけど、妻は「ボタンを一回押せばラジオが聴けるって便利!」と喜んでいた。完全に一周まわってきた感があり、ちょっと年寄りの意見ぽさもある。言ってることは全然わかるこだけど。便利なことには違いないのでそれでよいのか。ちなちみにネットがまだきちんと開通していないのでそこの部分も含めてラジオが重宝されているというのはある。

 

オールドメディアといえばビデオテープも実は控えている。こちらはたぶんほぼライブ映像なので音源よりもさらに強いハートが必要だ。

ビデオデッキ…探してみよう