普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

キリギリス生存ルートを考える

アリとキリギリスという寓話がある。この話のキリギリスはちょっと立ち回りが下手なんじゃないかと思うのだ。冬を乗り切る方法はあったはずである。

夏の間に遊び呆けるの、結構じゃないか。夏こそ遊びたまえよとすら思う。むしろ夏に遊ばなくていつ遊ぶのだ。

キリギリスが歌って踊ってパリピとしてテンション爆アゲで朝帰りを繰り返しているのを横目に定時出社し、ルーティンワークをこなすアリ。きっとキリギリスに憧れるアリも少なくなかったであろう。それはもちろん来たる冬への準備も大事だ。でも自分もあんな風に日々を奔放に楽しく生きることができたら…との思いからアリの中でキリギリスファンクラブがが発足する。そういった集団にはとりまとめる者が必ず存在するのでそのとりまとめ担当者がキリギリスのためにできることをあれこれと思案するわけだ。

この時点で、キリギリスはファンクラブが発足に気付いていない。あいも変わらず歌って踊ってばかりだ。そう、アホなのだ、彼は。ここでファンクラブとの接点をきちんともち、交渉に持ち込めていれば得意のエンタメとアリのため込んだ食料をトレードできていたかもしれない。ファンクラブ優遇措置などでチェキを一枚800円くらいで売れたかもしれないのだ。

エンタメの才能は充分であるのに商才がまるでなかったというわけだ。キリギリスの敗因はそこにあったのだろう。

そうこうしているうちに冬になり、食べ物を調達できないまま寒さと飢えで命を落とすキリギリス。アリのファンクラブ会員の中で後追い自殺するものもでただろう。問題はきちんと真面目にコツコツと働くかではないのだ。自分に後悔のない行動を一瞬一瞬で選択できることなのだ。ファンクラブ会員のアリも周りの同調圧力に屈せず、キリギリスにほどこす等すれば生きがいを失わなくて済む。それを世間ではヒモという。

いやでも絶対キリギリスに貢いででも近づきたいアリはいたと思う。世の中そういうひとって一定数いるもの。キリギリスはもっとうまく立ち回れたはずだ。冬の巣篭もり中のアリにエンタメを提供してギャラをせしめるとか。

僕はどちらかというとキリギリス側の生き方をしてきたような気がするのでなんだかキリギリスに肩入れしてしまう。

 

ちなみに、もともとはアリとセミだったらしいのだけど、話が伝わっていくうちにセミの生息範囲から離れてしまったのでキリギリスが抜擢されたらしい。

でもこれ、セミだったとしたらそもそもの生態としてめちゃめちゃ我慢してるのセミなんじゃないかと思うのだけど。それで成虫になったセカンドライフについてアリにネチネチ文句言われたかないよなと。じっくり土の中で我慢して、地上に出て騒ぎ倒して死ぬっていうのも考え方としてはありだ。

 

ここまでぶつくさいっておいてなんだけど、虫がものすごく苦手なので両者滅んでもらって構わない。アリとキリギリスの話も毛の生えた動物で再構築されることを望みます。