突然ドラクエ4の大灯台を思い出した。正確に言うと思い出したときは「大灯台」という名前すら思い出せておらず、「なんか内陸にある灯台があったな…あれはなんであんな内陸に灯台が存在したんだろう」くらいのぼんやりとした思いつきであった。
内陸の灯台、なんだかいわくありげではないか。いやまあ実際ゲームに登場してその舞台となっているのでいわくしかないのだけど、こどもの頃にドラクエをプレイしたときには気づけなかった知られざる物語がそこにあるかもしれない。
現代の集合地、インターネッツに頼ってみたところ、なにということはなく、まず灯台はしっかり岬に存在した。きちんと海が近かったということである。とんだ記憶違いだ。あんなに夢中になってプレイしたゲームの記憶もこんなに曖昧になるものかと自分の加齢を感じ寂寥感に包まれた。
ただ、手ぶらで帰るのもいやなので内陸の灯台に焦点を当てて調べてみたところ、世の中にはそういったものはいちおう存在するらしいということが確認できた。とはいえ、僕が思っていたようななぜそこにあるのか不思議なくらい内陸部ということではなく、”わりと”内陸くらいの位置感のようである。あくまでも海から見えないと意味がないので当たり前といえば当たり前だけど。
埼玉県(海なし県)に灯台が存在したらその存在理由にわくわくするような物語があるに違いないのだけど、残念ながら埼玉に灯台は存在しない。もっというと栃木県、群馬県、山梨県、長野県、岐阜県、滋賀県、奈良という海に面していない県にはきっちり全て、理から外れることなく灯台が存在しないことが確認できた。
世界中には海に面していない国もあるし、そういった国には灯台が存在しないどころかかつては灯台という概念すらなかったということなのだな。国単位で特定のものが存在しないというのはなかなかのワンダーである。そもそも海なし国のひとびとはかつて海というものの存在など知る由もなかったわけで、知ったとしても旅人から伝え聞く程度。海の存在をどのように受け止めたのだろうか。
海を説明するのだとしたら、「見渡す限り全部水。広いなんてもんじゃない。これまで見てきたどんな大きな川より果てしない範囲がひと続きに水をたたえている」とかだろうか。僕がその説明を受けたらまったく信じないと思う。なんならちょっと怒っちゃうかもしれない。嘘も大概にしろと。そんなものが存在するはずがない、だとしたらその先に何があるというのだと。そのくらいに知らないひとからしてみたら海って嘘みたいな存在だなと思ってしまった。そもそもそのひとの概念にないものを説明してもそうそう簡単に理解してもらえるはずもないよな。百聞は一見にしかずってそういうときに生み出された言葉なのかもしれない。
海あり国のひとだって海の先に何があるかなんて知らなかっただろうし、想像すらしなかったかもしれない。そりゃ伝説やら妖怪が生みだされるなととても納得できる話である。
ドラクエ4の世界地図を久しぶりに見たけど位置関係とか国名とか全然覚えてなくてしょんぼりしてしまった。でもその分”想像の地図”という感じが強くてわくわくするものがあった。思えばこどもの頃、ゲームの世界地図に触発されて自分で地図とか書いてたような気がするな。その延長がいま架空の街の地図を描いているひとなのだろうからその楽しさはごりごりに共感できる。
ちなみに、わくわくといえばFF3の浮遊大陸から飛空艇で外の世界に飛び出したときの「世界がこんなに広いなんて!!」ほどわくわくした瞬間はこれまでの人生でもそうないだろうなというくらいにわくわくしたことをご報告いたします。
もう中年以上しかわからなそうな話題なうえになんだか懐古じみてきてしまったので本日はこれにて。