普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

ひらがなの「ふ」が人生で1度もうまく書けたことがない

ひらがなの「ふ」、どうでしょうか?

いきなりどうかと言われてもなにが?としか言いようがない。ごもっとも。なにがというと上手に書けますかということである。

僕はほんっとうに「ふ」がうまく書けない。確か「ふ」を覚えたのは幼稚園の年長さんくらいのときだったのだと思うのだけど、そのときから現在の年齢まで1度たりとも「ふ」を満足の行くフォルムで書けたためしがない。

そもそも僕は壊滅的に字が下手なのだけど、それを差し引いても「ふ」に関してはひどい。「ふ」難易度高すぎないだろうか。それぞれのパーツの配置が不安定すぎる。適当にひじきを散らばしてもできそうな文字である。他のひらがなに比べて圧倒的に芯がない。

ひらがなといえば漢字を崩したものである。「ふ」に関しては「不」を崩したものだという。不穏じゃないですか、そもそも。「不」を見て「めでたさ感じるよね!」というひとは日本人であれば100%存在しないだろう。それどころかたぶん中国とか漢字を使用する文化圏まで入れたら億単位の人数が「不」にネガティブに感情を抱くことは間違いない。

もうこの際変えちゃいますか、「ふ」。

「浮」とかからもってくれば「は」とか「ほ」みたいな字が出来上がるんじゃないかと思うんだよなあ。文字をデザインするひとにオーダーすれば一発だろう。稲川淳二あたりに頼んでしまえばいいのだ。稲川淳二といえばいまや怪談のひとというイメージでしかないが、実は工業デザイナーとしてとても優秀なひとであり、氏の書く文字は”稲川フォント”として話題になるほど読みやすく美しい。もう稲川さんしかいない。稲川さん、ここはひとつ国の歴史を変える大仕事ぶちかましましょう。

現実逃避したところで文字の歴史を変えるなどということが起こり得るわけはないので素直にこの前髪ちょろん鼻でかタレ目みたいなひらがなを上手に書けるようにならねば。字の上手い下手って絵心の有無も関係しているような気がするのだけどどうだろうか。ちなみに僕は絵心もまったくない。アトランティス大陸くらいない。いや、アトランティス大陸はあっても良い。夢持っていこう。とにかく僕の絵心は皆無なのだ。絵心も文字の上手い下手に関わるのだとしたら僕が文字を上手くなる未来はなさそうだ。読んでもらえるギリギリのラインの字だけは書けるように低空飛行をしていこうと思う。

ちなみに、「ふ」を覚えた時期とドラゴンボールを知った時期が同時期であり、その頃はウーロン登場の頃で、「ふ」を見るとウーロンが村を襲う時に化けたはったりの強そうな姿(ドラクエ1の”よろしのきし”みたいの)に似ているなと思っていた。ふと自分で書いた「ふ」があのキャラに似ているなと思ったのだ。絶対に誰にも理解されないだろうなという自覚はある。というか今そのキャラを見てみるとどこをどう見たらそうなるのか謎すぎるのでたぶんまるで書けてなかったな、幼少期の僕よ。

最近はひと前であまり字を書く必要がなくなって本当によかったなと思う。でもこの先書かなければいけないタイミングというのは必ず出てくるので”書く”というよりも”描く”つもりでひらがなに向き合っていこうと思う。字よりは絵のほうが希望をもてそうな気がする。