普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

アミューズメント施設≠”ゲーセン”

この間散歩していたとき、久しぶりにゲームセンターを見かけた。アドアーズみたいな”アミューズメント施設”ではなく、いわゆる街のゲームセンター、もっと言ってしまえば昭和のゲーセンといった空気をまとったそのそれである。

実際にお店に入ったわけではないのだけど、圧倒的「そのそれ」感を醸し出していることはこの画像でわかってもらえるかと思う。

健全さのないたたずまいが正に昭和

どうだろう、この不健全さ。あまり若いひとには分かりづらいかもしれないのだけど、昭和を生きた人間であれば感じることができるだろう、この階段にたむろする制服姿のヤンキーを。今はそんなことはないけど、かつてここはそういう不良の溜まり場だったに違いない。かつてのゲームセンターというのはそういう場所だったのだ。それをこのゲームセンターからはむんむん感じる。

たぶん店内は薄暗い。そしてクレーンゲームの類のものが入り口に申し訳程度に設置されており、少し進むと格闘ゲームの数々。その奥にはメダルゲームのスロット、そして最奥には脱衣麻雀が設置されているに違いないのだ。そしてそこには違反制服を身に纏ったリーゼントのヤンキーがいる。くわえタバコで下品な笑い声をあげながら。

昭和か。

いや昭和ってこうだったんですよ。コントかと思うような世界観が現実にあったのだから夢でも見ていたのではないかという気分になる。さすがにこの店内はきちんと令和であるだろうけど、隠しきれない昭和感はところどころに感じさせてくれることだろう。入店していないんですけどもね、僕。

ゲームセンターといえば専門学校を卒業してすぐにゲームセンターでバイトをしたことがあった。このゲーセンと同じタイプの匂い立つ昭和ゲーセンで。そのゲーセンは家族で営まれており、3兄妹が現場責任者として勤務していた。

・長男

 店長。サッカーが好きで週末となると子供を連れてフットサルだのなんだのをやっていたっぽい。店内で気に入らないことがあるとすぐテプラで注意書きを作る。

・次男

 見た目が体育教師。制服を着て勤務しているのに上が白ポロシャツ、下はジャージという姿がくっきりと見える。話の節々にガチロリであることがうかがえた危険人物。

・末娘

 昭和っぽいヤンキー姉さん。変な柄のセーターとか着てた。僕が夜勤なのに対して彼女は日勤しかやっていなかったのでほとんど絡みはなかった。

以上が3兄妹のキャラである。当時僕が住んでいた街は栄えていたほうではないのでその規模の街にいそうな郊外のおじさんたちといったところだろうか。

仕事が嫌だったわけではないのだけど、店長がとにかく口うるさい人間で何かというと作業に口を出してくるのが嫌で仕方なかった。我慢の効かなかった当時の僕は「その意見の正当性ある?」的な反抗の仕方をし、店長もボルテージあがってきてしまって口論のようになって「そんじゃあ辞めますわ!」と勤務1ヶ月くらいで辞めてしまった。若さだねえ。

ゲーセンにはそんな思い出もあるので、冒頭の街のゲーセンを見かけて無視できなんだ。このゲーセンでもかつての僕のような若者がイキっているのかもしれない。店長かわいそう。