普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

郷愁の念と下卑た好奇心

平日の午前中のテレビ番組を見ると郷愁の念にかられる。特にフジテレビ、10時からの枠、今だとノンストップがやっている時間帯。なぜかというと、学生時代の長期入院をよくしていたときのことを思い出すからだ。

今はノンストップだけど、その頃やっていた番組は「どーなってるの?!」だった。ちなみにその前の時間帯枠はおはようナイスデイ。おはようナイスデイはぎりぎり報道枠なのだろうなと思えるけれども、どーなってるのは今思えばあれはなんだったんだろうと思ってしまう。今調べたら生活情報番組というくくりらしい。なんというふわっとしたカテゴリー。

ご近所の意地悪な奥さんとのトラブルの話、姑とのいざこざ。そんな話の再現ドラマにけっこうな時間を割いていたような気がする。どう考えても専業主婦におもねった内容である。それを見て思春期の僕は何を思うのが正解だったのだろうか。というか楽しめていたのか、自分は。入院中はとにかくやることがないからエンタメ関連を貪欲に摂取しにいこうとする傾向にある。それを思うとそれなりに楽しんでいたのかもしれない。

今思うと本当に時間余っていたんだなという極め付けはジャンプの一番最後のページに載っている作者の今週のコメント一覧までつぶさに読み込んでいたことだ。秋元先生のアイコン、レトロだなあなどと思いながら。当然その直前のページに掲載されているジャンプ放送局までしゃぶりつくした後に、である。

あの時間が止まっているんじゃないかというくらいに緩慢とした午前中の入院病棟の空気を、午前中のテレビ番組を見ることで思い出すというわけなのだ。

入院経験者なら誰もが思い浮かべるイメージ

ついこの間帰省した際、平日に休みをとっていたのでその枠、要はノンストップを見る機会が訪れた。時代は変われど放送内容はそう大きく変わらないものだなとぼんやりと番組を眺めているうちに、時刻は11時過ぎ。番組内のテレビショッピングのコーナーにとなっていた。

ペナルティ ヒデ氏と見たことがあったようなないような女性タレントの方々が寸劇混じりにご婦人むけの商品を売り込んでいる。このとき初めて気づいたのだけれど、このコーナー中、ずっとトークスタジオの面々がワイプで抜かれているのだ。バナナマン設楽氏他、その日のゲストが絶え間なく。

一般的にワイプといえばVTR中のリアクションが期待されているものだと思われるが、このコーナーのワイプの面々はまったくのノーリアクションであった。ヒデ氏が小粋なジョークを飛ばしても眉ひとつ動かさない。「へ〜」という表情すらしない。

あのワイプ演出、いるか?ノンストップは平日毎日生放送らしいのでそりゃあ毎日同じもの見せられてリアクションも何もあったものではないと思う。それはわかる。それならワイプで抜く必要あるだろうかと感じてしまうのだけど、あの演出の意図というのはなんなのだろう。契約の問題やらなにやらで放送時間中は何秒かに1回は映っていないといけないなどのルールがあるのだろうか。謎だ。

郷愁をもって番組を眺めていたが、一気に下卑た好奇心が上回ってしまった。「あれがいいんだよ!」ってなひとがいるものならその良さをぜひお聞かせ願いたいのでご連絡ください。