普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

お酒を飲まない楽しみというものを見出しはじめた

ただのルーチンのように飲酒をしているが、それなりに日々の晩酌は楽しんでいる。しかし飲まない楽しみを見つけてしまった。

お酒を飲まなかった次の日、おそろしく食事がはかどるのだ。

て、あれ?そのお顔はいまさら何言ってんの的なお顔ですか。お酒を飲まないと食欲がもりもりわいてくるというのは世間の常識でしたか。

何はともあれ食欲があるというのは嬉しい。というよりも、食欲がわかないというのは生き物としての危機を感じる。そういうこともありどうにか通常の量を食べることができないものかと手をこまねいていたところに先日の健康診断。検査のためにお酒を抜いたことが功を奏し爆速で通常の量の食事をたいらげるという近年稀に見るエレガントな食事となったのだ。

ひとりの家ご飯のときなら食事の途中で思ってたよりも早く限界に達してしまっても「ちょっと多かったな…あとで食べよう」と、とっておいて次回の食事のときに食べてしまえばよいのだけど、他のひとご飯を食べに行ったときなどはお残しをしなければいけない。作ってもらった食事を残すということにものすごく抵抗を感じるし、一緒に食事をしているひとから見てもあまり印象の良いものではないだろう。そういうこともあり、通常の一人前を問題なくたいらげることは必須ということである。

そのような小賢しい処世に関する思いを胸に会社に行ったときは定年派遣おじさん等とお昼ご飯を一緒に食べる。昨日も出社をしていたのでおじさんとお昼ご飯の相談をしていた。僕が会社に行く理由はお昼ご飯を食べることだと主張して憚らないように、おじさんも出社時のハイライトはお昼ご飯だと声高に語る。

昨日はだいぶ気温も落ち着いており、多少距離のあるお店にいくこともできるだろうという判断でおじさんお気に入りのハンバーグ屋に行くこととなった。明らかにテンションのあがったおじさんであったが、僕の心の中では鬱々たる気持ちが育まれていた。

ハンバーグ。それはエンターテインメント。ハレの日の食べ物だ。僕も好物である。未来永劫ハンバーグを好きであり続ける自信がある。しかし昨日はお酒を飲んでしまった。先に述べたようにお酒を飲んだ次の日の食欲は絶望的だ。さっきご飯食べたばっか?というくらいには食べられない。今日のコンディションでのハンバーグは危険だ。でもおじさんの嬉しそうな表情を曇らせるわけにはいかない。ここはひとつ、腹を括って胃腸に悲鳴をあげてもらおう。

覚悟を決めてお昼ご飯の時間を待ったが、だいぶ落ち着いている気温が落ち着いているを通り越し崩れ始めた。ハンバーグ屋は歩いて多少距離がある。雨の中向かうには完全にむいていない。危ぶまれるハンバーグ。でもひっそりホッとしている僕。

結局、お昼の時間にちょうど雨がちらついてきたのでハンバーグは次回に持ち越しとなった。よかった。おじさんの大好物のハンバーグをお残ししないですんだ。

ハンバーグを諦めどうしたかというと、会社から最も近いというだけが取り柄の中華屋に行くこととなった。食べたら嬉しいということもなければくさすほどにダメな部分もないという真顔中華である。その真顔ぶりを象徴するようなメニューがこれだ。

真顔ラーメン

本当に普通。普通という以外に表現のしようがない醤油ラーメンだ。たぶんここまで普通としか言えない醤油ラーメンは今の世の中なかなか食べられない。かつてあった高速道路のサービスエリアのラーメンとか、チェーン店が立ち並ぶ前のショッピングモールのフードコートのラーメンなどがこれに近いように思う。しかし今日のお腹には実にちょうどよくおさまった。おじさんも五目焼きそばを食べてご満悦だったようなので結果オーライということで。

それにしてもお酒を飲むとご飯食べられない仕様の身体、なんとかならないものだろうか。若い頃はめちゃくちゃ二日酔いのときでも1食を挟めば復活したのだけどな。というか自分で言っていて気づいてしまったけどこれが老いということか。そりゃ四十路も過ぎればそうなのかもしれないが現実をなかなか受け止められない。いっそのこと1週間くらいお酒を抜いたら一度リセットされたりしないだろうか。

ひとまず今はお酒を抜くことで食欲増進の効果を得られるという"飲まない楽しみ"というものを素直に楽しんでいこうと思いやっす。