普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

エビフライパラノイアによる所業を目の当たりにした

先日職場付近を歩いていたらこんなものが落ちていた。

エビフライ…?

エビフライであることはすぐにわかるものの、エビフライがどういう状態になっているのかがわからない。器状のものにぶっ刺さっているようにも見える。アバンギャルドなエビフライ丼なんだろうか。にしては器の底に余計なものがついているのが気になる。この形状の器ではテーブルに置くことができない。置こうとしたら丼が倒れてしまう。世の中には「べく杯」という悪辣な酒器もあるし、食べ切るまで器を置けないエビフライ丼という中年殺しの器が存在するのかもしれない。

そう思い自分を納得させたものの、いまいち腑に落ちない。そもそもエビフライ丼て。ニッチすぎやせんか。その上器に巨大エビをおっ立てるってセクハラじみてすらいる。憶測はやめ、きちんと調べてみよう。そう思い何やら文字が書かれているタグを解析しネット検索をしてみた。

タグには「©︎Sora Umino IKIMON/MADE IN VETNAM」と書かれている。すぐにわかるのはベトナムで作られたということのみ。その他の情報をさらにネットで検索してみる。すると画像検索で以下のような検索結果に行き着いた。

えびふらいふ…?

いた。道端のエビフライいたよ。でも僕が正として捉えていた向きとは真逆で見るのが正しかったようだ。エビフライがニット帽をかぶっているのが正しい見方だったようだ。そんなんわかるか。初見で「あ〜、エビフライが帽子かぶってるな〜。保温状態よさそうでほかほか〜」って思わないよ。

エビフライ丼なんてニッチなものにフォーカスするなんて随分攻めたもん作っているなと思ったけど、それどころではなかった。エビフライパラノイアが世に送り出したエビフライ偏愛の権化がそこにあったのだ。素直に受け入れてはいるけど、説明されてもまだ状況としては不明ですけれどもね。ニッチではあるにしろエビフライ丼は実在しているもののエビフライがニット帽をかぶっている状況に出くわしたことはない。常識に縛られたものの見方をしてしまっていたのだな。コペルニクス的転回ってこういうこたなのかもしれない。

画像検索からその出所をさらに調べてみると「えびふらいふ」というTwitterアカウントが存在することを知る。先にアカウントがあってこれらのエビフライが世に送り出されたのかはわからないけれども、とにかくえびふらいふ”2”らしいので需要に沿った供給がされているのだと思われる。

どうもこのエビフライたちはカプセルトイのようだ。ということはニット帽ピンポイントではないにしてもエビフライの日常を欲しくて手に入れたものなのだろうから、この持ち主は落としてしまったことに心を痛めておられるかもしれない。万に一つの可能性もないとは思うけれども落とし主がこの記事を見ご覧になるようなことがあればご連絡くだされば発見場所をお知らせします。

それにしても今の世の中なんでも商品化されるものだな。ある程度ニッチなものでもネットの力で一定数の需要があることを認識することができるというのも理由のひとつなのかもしれない。むしろニッチであればあるほど特定の層からの需要と愛情はより強く、盤石なものとなるのかもしれない。大衆=正義みたいなものに抵抗を感じてしまう僕としては良い世の中になっておるなとしみじみ感じ入る次第です。

以上をもちまして、ひとの落とし物に思いを馳せるのコーナー終了です。