普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

30年越しに知る山中の穴あき柄杓の謎

妻の出産前、小学生の頃に日蓮宗の総本山、身延山に行ったことを思い出した。どういう経緯で行ったのだったかとんと思い出せないが、道中の山の斜面におびただしい数の穴あき柄杓が刺さっている光景があったのはよく覚えている。

身延山というからにはその名の通り山である。山中に向かって車を走り進めていたわけであるが、なぜそこにあのような柄杓が…?と不思議に思ったのだ。穴あき柄杓といえば船幽霊である。

ja.wikipedia.org

船幽霊といえば海の話。なぜ海の話のグッズが山の中に?と訝しんだものの同乗しているお坊さん、祖母に聞いても答えは出なかっしそれ以上調べようもなかった。ちなみに小学生でなぜ船幽霊のような渋い話を知っていたかというと、その少し前「まんが日本昔ばなし」によってテレビアニメで履修済みだったのだ。めちゃくちゃ怖い話だなということできちんと頭に叩き込まれていた。あのアニメってたまに日本各地の伝承系のお話があってそれがなんか変な怖さがあったよな…今見たら面白さしかないのだろうけど。

話が逸れたが穴あき柄杓で船幽霊と考えたのは今考えてもまあ妥当かなと思う。妥当かもしれないけど理由がわからない。謎は謎のままだ。だがしかし、あれから幾星霜、現代には人類の叡智、インターネッツがある。ヒットしそうなワードをチョイスしGoogle御大にお尋ねしてみたところ、以下のリンクが施された。

www3.town.minobu.lg.jp

サイトを確認すると柄杓について以下のような記述が。

産児神(さんごじ) 安産を祈願して柄杓(ひしゃく)の底をぬいて奉納する風習が、今に伝わっています。

これだ…!!なんと安産祈願だったのか、あれは。なんで柄杓の底を抜いた状態で斜面にぶっさすことが安産祈願になるのかわからないけれども、何かしら希望めいた祈りがあそこにはあったのだな。船幽霊全然関係なかった。怪談じみた話に結びつけてしまって申し訳ねえ。いやそれにしてもすごいな、ネットは。30年以上前の謎を指先ひとつで解決してしまうのだから。なんで穴あき柄杓が安産祈願まではわからないだろうとダメもとで調べてみたら穴あき柄杓は水を通す=すんなりものが通る=子がすんなり生まれる=安産💡という論法らしい。ちょっと「ん?そうなん?」と思わないでもないが、穴あき柄杓の謎まで知れてしまった。やっぱりインターネッツすごい。

ちなみに静岡は伊豆あたりに音無神社という神社があり、そこでも穴あき柄杓が奉納されているとのこと。静岡東部の方の風習だったりするのかもしれない。

結果的に安産祈願だったのだなと知れたわけだけど、これを出産間近の頃に思い出したというのが何やら運命のようなものを感じた。しかも安産祈願と知らずにふと思い出して調べてみたら安産祈願でした、というあたり特に。脈絡がないようでがっつり脈しかなかった。

結局安産だったのかというのは僕には判断しかねるところではあるけれど、無事出産を行えたのだから産児神効果ここにありってことで素直にありがたがっとこうと思う次第。

みなさまにおかれましても子供の頃謎でしかなかったものをネットで調べてみるのもよろしかろうとお薦めいたします。意外な事実がわかっちゃたりするやも。