普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

どうやら現代の腎臓移植は喉越し派になったようだ


年に1度の移植外来に行ってきた。病院に行っているのは間違いないのだけど、医師とは

医師「どうですか?変わりないですか?」

僕「特にないです。」

移植のコーディネーターさんとは

コーディネーターさん「変わりないですか?」

僕「普通ですね」

と会話をするだけ、年に1度「おれのこと忘れないでくれよな!」のご挨拶的な的なもので実質ただの顔見せだ。お歳暮よろしくハムでも持ってけばよかったかな。

医師とは本当に上記くらいの会話しかしていないがコーディネーターさんとはもう少し昨今の移植事情について話をした。なにやら移植に関するルールに若干の変更があったらしく、ざっくり言うと僕の元にはなかなか移植腎はまわってこないよね、という話だった。

それに対して悲観的になることもなく、「ですよねえ」くらいの温度感で話を聴いていた。それどころかまだいいかな、くらいにすら思っていたほどだ。臓器が提供されることが決定するとそれはもうドラマティックに物事が進んでいくらしく、冗談抜きにそのときの何を差し置いても、それこそ全てを捨てて臓器移植に臨まないといけないことになるというのだ。そういうの、いまちょっといいです。

そのうえ移植手術をした次の日には歩くようにうながされ、拒絶反応さえなければ早いと2週間くらいで退院となるらしい。腹裂いて他人の内臓入れてるのに次の日に歩けってえぐい。

ちなみに僕は学生時代に母の腎臓をもらって移植手術を受けているのだけど、そのときは1週間以上はベッドで横たわっていたし、入院だって事前準備含めて4ヶ月くらいはしていた。当時とは技術とか方針とか色々変わっているのだろうけど、術前だけではなく術後までドラマティックな展開すぎておののき倒した次第である。

食べ物で言ったら昔の移植がよく咀嚼して飲み込んでいたのに対して現在は喉越しだけでものを食べている状態だ。蛇ですよ、それ蛇ですからね。食べ物はよく噛んだほうがいいです。いやまあ大丈夫だからそういうことになっているんだろうけど。あと入院が結構好きだったりするのでゆったりのんびり病室で過ごしたいというのはちょっとある。

いずれにせよ気長に待つしかなく、人工的な腎臓が開発されるか、移植の順番がまわってくるのが先がどちらでしょうね的なタイム感であるのでのんびり構えることにする。

こうして病院への用事は驚くほど早く終わった。休みまでとっていたのに午前中で終わってしまった。とはいえ働くのもなんなのでそのまま散歩をすることにした。

ふらふらとたどり着いたのは歌舞伎町の果て。20代の頃に働いていたライブハウス跡地をを訪れた。

その昔はURGAというライブハウスでした

外観だけで言うと当時とあまり大差ないので懐かしさを感じつつも当時からの時間経過にちょっと引いた。それにしても入り口横の韓国式イイダコ専門店の主張がすごい。前までは職安通りより向こうまでは韓国エリアだったけど、最近は通りを跨いできているのだな。

その後は少し足を伸ばして西新宿へ。なんだかんだと思い出深い。昔はこの辺りに中古CD屋が結構あって、その中でもブートレッグを扱っているお店などもあって覗いたりしていたものだ。あとはなんといってもブートレッグのライブビデオ屋だ。僕らメタルの民はオフィシャルで手に入れられる映像作品は極端に少なかったのでそのお店があるだけで興奮した。価格が結構するうえに遠方からのワンショットだったりするので結局買わなかったけど。そうそう、しかも必ずしも映像をチェックできるわけでもないので変なものつかまされる可能性だってあった。ほぼエロビデオみたいな存在だな。YouTubeの台頭にによりお店は当然なくなった。というかそもそも違法だしな。

その他思い出の地を巡っていたら見逃せないポスターを発見。

いやいやいや…

シンプルに怖え。やっていることは相手を思いやっている行動であるはずなのだけど、このポスターからは邪悪な波動を感じる。このシチュエーション怖くないですか。痴漢されいるときにスマホの画面見せれて「痴漢されてませんか?」って。画面が黒いのがいけないのか波平はいけないのかわからないけどなんだ異常行動に見える。あと後ろのマスオさん多分エロ動画見てる。

結局病院よりも新宿散歩がメインのお出かけとなってしまった。若い頃は本当によく新宿にいたからな。良き休日でした。

新宿は鳩もたくましく、棘などものともしない