普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

精勤なカモの出退勤を知る

以前にも少し触れたことがあるのだが、家のすぐ横を川が流れており、ハト、カモ、なんだかよくわからない小さい白黒の鳥を見ることができる。

そのなかのカモ。

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ぷかぷかと水に浮いており、なかなかにして愛嬌がある。カモが窓から見える日はちょっと嬉しいし、しばらく眺めてほっこりする。逆にカモが来ない日は妻と「うちの前になにかカモにとってのうまみのあるモノを用意すべきなのでは…」と、半ば本気で相談するくらいに夫婦でカモにご執心だ。

そのカモ。夜は見かけない。どこか橋の下あたりの草場で眠っているのだろう。あまり疑問に思わずにいた。

昨日のこと。一日中雪が降っており、雪が積もって欲しいような、そうでないような曖昧な気持ちで窓の外を眺めていたところ、視界を飛鳥が横切った。それだけならよくあることなのだけど、心に違和感が残る。そしてまた横切る一羽。

……首、長くない…?ていうかカモっぽい…?え?カモなの!?カモ、あんな高さを勢いよく飛ぶの?

たいそうびっくりした。これまで川から岸へ上がる際によたよたと羽ばたくのと、水面からそう遠くない高さを短距離飛んでいるのしか見たことがなかった。あんな渡り鳥のようなモーションで高めの空をスピードを出して飛ぶなんてまったくイメージとしてもっていなかったのだ。川にぷかぷか浮いているだけの愛玩要素に特化した存在と疑っていなかった。

なんだか見るべきでない姿を見てしまったようなもやっとした気持ちだ。モー娘。加護ちゃんがタバコを吸っているのを目撃してしまってもこのような気持ちになったのでは。まああれは未成年のときなのでそもそもダメなんだけど。クラスメイトにあんなギャップがあるやつがいたらたぶん見なかったことにしてしまいそうだ。

時刻としては夕方くらいだったので、もしかして寝床に帰るところだったのかもしれない。ということはだ。川に棲みついているものだとばかり思っていた彼ら、彼女らであるが、普段はどこか僕が預かり知らぬところで寝起きし、我が家の前の川にご出勤してきているとういことになるのか。我が家の前を流れる川はカモにとってオフィスだったのだ。

見かけない日もあるなと思っていたが、それは出勤をしていなかったのだな。それは休みなく毎日毎日出勤していたら労基に目をつけられる。休むときは休んだほうがいい。

しかしまあ昨日は雪の1日だったというのに出勤をして川にぷかぷかと浮いていたというのには頭が下がる。僕など今週唯一の出社日だったのに雪のなか出社するのが嫌すぎて在宅勤務に切り替えたというのに。

日々の精勤を讃え、なにかカモにしてあげたい気持ちだ。野性の動物に餌付けはよくないので別の手段で。夏は暑いだろうしUSB式の扇風機でもあげようかと思ったが、川と岸の間に段差を作って上がり下がりしやすいようにしてみるなどよいかもしれない。そしたら家の前に現れる率もあがって毎日ほくほくできるし、win-winだ。

カモの見てはいけない(こともない)意外な一面を目撃したことは自分にとって貴重な体験だった。貴重さで言ったらかなり前に見たスズメの砂浴びくらいの貴重さでだったような気がする。あれ、かわいかったな…

一方で見るたびに不倫カップルっぽさのあるハトについては見たことに対する後ろめたさも意外さもない。

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