普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

冬の激SAMおキャンプ【前編】

「本当の神様ですよ。よろしかったらどうですか?」

電車内で女性から突然声をかけられた。手にはパンフレットのようなもの。状況が理解できてはいなかったものの、直感的に危機を感じ「あ、結構です」と断ってしまった。

女性はその後も向かいの座席の乗客、立ち客など手当たり次第に「本当の神様」を勧めまくっていた。ガッツあるな。しかしながら声をかけていたのが全員男性であったところは気になるところではある。

反射的に断ってしまったものの、パンフレットに何が書いてあったのかめちゃくちゃ気になる。断らずに話くらいは聞けばよかった。どうせ電車内だけの時間だし。と、思ったら僕の目的地と同じ駅で降りていた。危ねえ危ねえ。でもやはり内容は気になるのでつぎがあればあのパンフレットをゲットしたい。

これが土曜の朝の話。土曜の朝から電車に乗って移動という珍しき行動をしていたのには理由がございましてな。会社の先輩とかなり久々のおキャンプだったのだ。そのために先輩の家付近まで移動をしていたということである。その最中に前述の出来事。家にばかりいたら遭遇しないシチュエーションであるため、外にはでておくものだなと感じた次第だ。

そのおキャンプ、今回は茨城県神栖市にある海沿いのキャンプ場まで行ってきた。道中地獄の入り口みたいな道路を走ってたどり着いたので不安で仕方なかったがキャンプ場は平和そのものであった。そりゃそうである。バトルロワイヤルがはじまりそうな緊迫感しかないキャンプ場など相当にニッチなニーズでしかない。

キャンプ自体は久々ではあるものの、一連の過ごし方は前回とそう変わるものでもないためテントの設営等はなかなかにしてスムーズだった。

今回はガチの冬キャンである。キャンプに必須であるとすら言える焚き火も暖をとるための手段となる。放火魔だってもうちょっと遠慮するんじゃないかなというくらいには薪を燃やしまくった。

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酒を飲み、とくに中身のあるようなことを話すでもなく、ゆったりとした時間を過ごしているうちにお腹もすいてくる。先輩とのキャンプの食事当番は僕なので料理に取り掛かることにした。料理とかえらそうなことをいっても海鮮鍋なので切ってぶちこんで煮るだけだ。しかも鍋スープもかっているので料理と言える要素を可能な限り排除した献立である。

そうして魚などを一口サイズに切り分けているとニーニーと猫の鳴き声のようなものが。気のせいかなと思って調理を進めていたら気づけば僕の足元に猫が現れていた。

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ほう、かわいいもんですなとしゃがんで触れ合おうとしたら思い切りシャーって威嚇された。あ、そういう感じですか。それなら無理にとは言いませんけど、と調理に戻ったところ、またもやニーニーと鳴き始めた。こいつ、触られたりするのはぜったい嫌だけど、食糧にだけはありつきたいというつもりでいるのか。それな、やってることパパ活女子と一緒だからな。お前にゃ食い物はやらん。よそに行きな。

と、しばらくは無視をしていたのだが、ご飯おねだりの鳴き声は止むことがなかった。根負けして魚の切れ端を与えたところ、それをくわえてダッシュで消えていった。わかってはいたけど愛想がない。

気を取り直して調理にもどりしばらくすると、また鳴き声とともに猫が現れた。味を占めてしまったのかもしれない。よくないことしたな、と思うのと同時くらいにキャンプ場からのLINE連絡で「野良猫注意!食べ物をあさります!」といった趣旨の連絡がきた。あげちゃダメなやつなのかなあと思いつつもここにいつまでもいられても困るのでこれで最後と白菜を与えてみた。

そしたら全く口をつけようとしない。こいつ…もらう立場で選り好みしやがんのか。なかなかにして見上げた態度である。しかしまあ、こちらも白菜だけでは狭量であると思われてしまいかねない。仕方ないので先ほど魚の切れ端を再度与えた。

そしたらそれにも口をつけないの。なんなのこの猫。うちからお前さんに渡せるものはないよ、もう。それからはどれほど鳴いても徹底的に無視をした。そしたらよそのキャンパーのところに流れていったようだ。人間だったら相当にもめる展開であったか猫だったしなんだかんだで可愛かったのでおじさん甘んじてパパ活を受け入れるよ。

猫との攻防の末にひとまず具材を鍋に投入。

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これであとは煮立たせればよいのだが、その部分で一波乱あった。あまりに外気が低温すぎてボンベ内のガスが冷えてしまって鍋を煮立たせることができるほどの炎が発生しないのである。こんなことがあるのか。なにかにつけて冬キャンは過酷であることを思い知った。結局、先輩と僕で交代でボンベを暖め、暖めた直後のボンベのスタートダッシュのみで鍋を煮立たせた。ぶちこんで煮るだけとか言っておいて全然できてなくてお恥ずかしい限りっす。

つまずきもあったとはいえ無事食事にもありつけ、またお酒を飲みながらまったりと過ごし、そこまでの深酒もせずにその日就寝となった。

なんだかだいぶ長くなってしまったので残りは次回でーす。