普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

解体現場にみる情緒

一日中雨。雨が降っているとそれだけで気持ちがどよんとする。こんな日は晴れた日に散歩をしたことを思い出し、次の晴れの日の散歩に思いを馳せよう。

家の近所の通りが拡張工事を進めているらしく、通り沿いの建物が撤去されているのをよく見かける。建物の解体現場になんともいえない魅力を感じている僕としては激アツアベニューとなっているわけだ。

特によいと思っているシチュエーションが、壁が崩され階層が丸見えになっている状態である。あれはよい。もはやエロい。

「へ〜、中はこんなになってるんだ〜」

口をついて出る言葉もとたんに変態性をおびてくる。いやまあ壁が取り払われて内装が見える状態になっていればそれくらいのことは誰もがいいそうではあるが、邪な思いを心に秘めたものが発することによって、その発言に澱みが生じる。

エロいかどうかはいったん置いておいて、解体中の建物って、怪獣の図解のイラストに似ているよう気がするのだ。怪獣の身体の一部が透過していて、すごい内臓だったり、すごい脳、謎のエネルギーを生み出す機構が描かれていて、それぞれにそれはとてもすごいものだという説明書きが添えてあるというあれだ。なんかよくわかんないというひとはこちらを参照されたし。

あまり特撮モノに興味を持たなかった子供ではあったが設定解説とかウンチクとかそういったものはとても好きだったので怪獣の図解も結構好きだったと思う。

それもあって無意識的なところで解体中の家を図解に重ね合わせているのかもしれない。というかそれだったら無邪気な感じがして良いと思う。そうであって欲しい。

もっとこう、窃視趣味というか…有体に言ってしまえばのぞき的なものに近しいなにかを求めるということを心に秘めていたらどうしようとも思ってはいる。しかも対象が無機物って。相当にピーキーな変態趣味だ。

近所ではアパートくらいの規模の解体が行われていることが多く、わりかしコンパクトな解体工事となっているようだ。それでも解体によって発生した廃材をトラックにうずたかく積み上げられた姿は圧巻であった。写真を撮るのを忘れてしまったのが悔やまれる。

解体現場にというのは非日常で、居住するために存在していた物がその役割を終え、ひとの気配を残したまま廃材と化していく姿に物語性を感じ、センチメンタルなものを感じているのかもしれない。意外なところに着地したが、そういう一面も確かにあると思う。

アパートでこれなのだから、ビルの解体はもっと心にくるものがあるだろう。今ちょうど透析クリニックの向かいの元パチンコ屋が解体作業中なのだけど、しっかり囲いがされており鑑賞することができない。

機材やひとが出入りするときだけほんの少し中の様子がうかがえるので、その瞬間を食い入るように見ている。ふだん見ることができないものだけに余計に見たい。

これもなんというか一瞬のパンチラを一生懸命見るみたいで健全じゃないような気がするが人間の心理ってことでひとつ手をうっていただけませんか。

解体中の建物のよさをさんざん語ってきたが、実はビル爆破とかめちゃくちゃ見たい。情緒もなにもあったものではない。

それはそれ、これはこれということでね。爆破もまた男のロマンということで今後ともよろしくお願いしやす💥

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