普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

秩序を無秩序に描く

今週のお題「もう一度見たいドラマ」ということで、ふだんドラマって見ないし今回はスルーかなと思ったのだけど、はたと思い出したドラマがアリー my Loveである。

海外ドラマで、はじめて見たのはもう20年くらい前だ。アリーという女性弁護士が主人公で、このアリーというひとがとにかくかわいらしい。かわいらしいけど困ったひとでもある。端的にいうと情緒不安定といったところだろうか。

劇中、恋をして、うまくいってもいかなくてもとにかく荒れるのだ。しかも大概の原因はアリー自身にあることが多い。それを毎回ルームメイトのレネからなだめられるというのがパターンだ。レネは真っ当にアリーを諌めているように見えるが、相対的にまともに見えるだけでピーキーな人物ではある。

その他、拝金主義で独自の哲学をもつ事務所経営者のリチャード、その共同経営者でパラノイアっぽいけど裁判にはめっぽう強いジョンなど、困ったひとしか出てこない。ちなみにリチャードは鮮やかなまでに法廷では弱いというのも愛すべきポイントだ。

弁護士事務所の話なので法廷の描写もよく出てくる。現実の裁判がどこまでどうなのかはよく知らないのだけど、このドラマ内で言ったらとにかく口八丁で乗り切っている。陪審制なのでその口八丁で勝てそうもない裁判もアリーたちの手で勝利するということもある。そういった爽快さもこのドラマの見どころなのかもしれない。

基本的にコメディなのでそこまでシリアスな描写というのは多くはないし、アリーの恋愛についても同様なのだけど、アリーは言ってみても若手のエリートだ。なので、出会う男性、お付き合いする男性も同業者や医者とホワイトカラー的エリートが多い。

そんななかで一度、そういったエリートではないいわゆる学歴なども普通くらいのひとと良い感じになったエピソードがあった気がするのだけど、そのとき確か立場の格差を理由になんだか気まずいことになっていたという話があったと思う。

最近なにかの記事で読んだのだけど、欧米では人種、性別などの差別に関してはセンシティブではあるけれど、学歴に関しては大学を出ているか出ていないかで露骨に差別が存在するのだという。ホワイトカラーのエリートがいわゆる高卒のブルーカラーを蔑むことも珍しくなく、それを恥じることもないのだとか。

実際に見聞きしているわけではないのだけど、本当だとしたらなかなか辛い話だ。アリーマイラブのなかではそんな深刻な話だと思って見ていなかったし、日本でも似たような話はあるにはある。

今になってそんなところを真剣に考えるようになるとは。といっても立場の格差のところにそんなにテーマ性とかは持たせていないのだろうな。

なんだかんだといって地頭のよさと生きる強かさが大事なんじゃないかなと思っているのであまりそういうのは気にしたことはないけれど。

少し話がずれてしまったが、アリーマイラブ推しのひとは意外にいたりするのではないかと思っている。

歯並びがよいだけで法廷で有利になったり、ダンシングベイビーの幻影と仲良くしようとしてみたりとめちゃくちゃだろうと思えるところが心地よいのだ。

 

ちなみに見るなら吹き替え版がおすすめです。個人的に。

配信もあるにはあるようなのだけど、ものとして所有できる形で手元に置いておきたい次第です。