普遍と平熱

かつてけっこう本気バンドをやっていて、途中で透析が始まったひとの平熱くらいの温度感の話

くさいはくせになりがち

ここ数日、キビヤックに想いを馳せている。

いつ、どこで知ったのだか思い出せないのだけど、一度知ったらまず忘れることのない料理だ。いや、料理というのか。あれは。

ざっくり言えばアザラシの腹の中に鳥を詰め込み、それを地中で発酵させたものを食べるというものなのだけど、その食べ方が衝撃的だ。発酵しきった鳥の内臓を鳥の肛門からすするというのだ。やることなすこと想像の範疇を超えている。

最初にその食べ方をしたひとというのは特殊な性癖でもあったのではないかと思ってしまうようなそのスジではご褒美っぽい食べ方だ。

ちなみに世界で臭い食べ物第4位らしい。

臭いと言えば日本にはくさやがあるじゃないかと思うだろう。くさやは第5位の臭さとのこと。

くさやであれば食べたことがあるのどけど、あれも話だけを聞いたら正気とは思えない作り方だ。塩水に魚を漬け込むというところはわかる。でもそれをずっと使いまわして発酵に発酵を重ねたくさや液に魚を漬け込み続けるというのだからすごい。

最初に発酵してきた時点でこりゃもうダメだとならないものなのだろうか。昔のことだし多少はの傷みは強靭な胃袋でカバーだとばかりに食べてみたら意外にうまい、という流れか。

たしかにくさやは旨みがある。旨みはあるけどにおいはすごい。僕の親戚は畜産をしていたのだけど、その親戚の家に遊びに行った時のにおいだ。これも一部界隈のひとにはご褒美っぽさのある風味である。

世界で発生した発酵を極めたような食品の誕生の影には特殊な性癖、趣味をもったひとびとがいたのかもしれない。性癖とまではいかなくても、真夏の炎天下、汗をかきまくったあとに腕時計を外した時のベルトの内側のにおいが好きとかそれくらいの嗜好はあったのではないか。

ひとそれぞれなのでそれ自体はよいし、長い時間を経ても好んで食べるひとがいるのだからマイノリティとはいえ、牛乳を飲んだコップを洗わずそのまま麦茶を注いで飲めてしまうひとよりは人口比率としては多いのだろう。

実際機会があれば僕もキビヤックを食べてみたいと思っている。なれずしなどもこっち側の食べ物だろうと思うのでやはり食べてみたい。熟練のなれずし好きとなるとほぼゲル状のものがよいということらしい。その状態で寿司を名乗るハートの強さ、なれずしを見習いたいものである。

なんだかんだとくせが強かったりにおいの強かったりする食べ物は好きなので僕ももしかしたら生涯のうちで上記のような過激な食べ物を生み出してしまう可能性はあり得る。仮にその偉業を成し遂げてしまうことがあったとしたらそのとき妻は隣にいないかもしれない。それどころか近隣にひとが寄り付かないことさえあるだろう。いや、もしかしたら逮捕とかされてしまうのでは。やっぱりおとなしくしとこう。

 

ちなみに世界臭い食べ物第1位は当然のようにシュールストレミングだった。これもやっぱり気になるには気になる。でも後悔する自分が見える。なにより爆発する缶詰ってどういうことかと。ベトコンか。

そして2位はホンオフェ、3位はエピキュアチーズというニュージーランドのチーズらしい。

ホンオフェはエイを発酵させたもので激烈なアンモニア臭がするとのこと。

もうデリカシーのない言い方してしまうと、なんでこう…食べ物を糞尿の風味に近づけてしまうのか。旨みと香りは別ベクトルと発見したひとは相当研ぎ澄まされた感覚の持ち主だ。色んな意味で。

僕のようにクリームチーズ(kiri)に韓国海苔を巻いて、いも焼酎を飲むとすげーうまいんですよー!とか言っている人間には到底かなわない。もっと精進していきたい所存です。美味しんぼみてな。